2022年04月29日 1721号

【みるよむ(618)2022年4月16日配信:イラク平和テレビ局in Japan バスラの若者は失業に抗議する】

 石油価格の急上昇で、イラクの政府と企業の収入は大幅に増加している。ところが非常に多くの失業者が放置されたままだ。2022年2月26日、南部バスラで失業した若者が雇用対策を求めてデモを行った。サナテレビはデモの参加者を取材した。

 政治活動家のモハメド・アル・ヤスレーさんが状況を説明する。「このデモに参加しているのは失業中の若者や公務員などだ。バスラは油田地帯の中心都市であり、1万8千の会社がある。政府が若者の雇用を確保することは十分できる経済規模だ。しかし、雇用庁は、雇用確保の要求に『一定数を雇用している』と嘘の答えをするばかりだ。今のところ、失業者は一人も働けていない」

 デモ参加者の若者が「地方政府は、バスラの人びとへの雇用機会の提供を先延ばしにし、イラクの予算の95%を提供する石油資源を奪っている」と声明を読み上げる。雇用を確保せず汚職に手を染める雇用事務所の所長の解任など労働者の要求を突きつける。

 別の失業者は「専門学校や大学を卒業したのに、失業している若者たちの運命はどうなるのですか」と怒りをぶつける。そして、失業者登録がバスラだけでも6万人にも達しているのに何の対策もしない雇用事務所やバスラ州知事の責任を追及する。

雇用対策なしに怒り

 若い失業者たちの怒りの背景に何があるのか。石油価格が1バレル当たり44ドルから105ドルへと高騰し、石油収入が大部分を占めるイラクの国家予算は潤っている。にもかかわらず、政府による雇用対策がまったく行われていないというでたらめへの怒りなのだ。

 失業した若者が中心となり、雇用確保を要求して声を上げ、政府を揺るがそうとしている。そうした闘いの息吹が感じられる映像だ。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS