2022年04月29日 1721号

【派遣法違反の実態 当事者が追及/請負判断告示の文書通達を迫る/厚生労働省と意見交換】

 4月15日、参院議員会館で首都圏と関西のなかまユニオンが厚生労働省へのヒアリング(意見交換)を行い、労働者派遣法運用の問題点を追及した。東リ偽装請負裁判当事者や派遣労働者組合員が参加し、福島みずほ参院議員、宮本徹衆院議員などの秘書が同席した。

 昨年12月のヒアリングでは、厚労省が「(適法な請負と偽装請負を区別する判断基準を定めた)37号告示は後退していない。適法な請負か否かは、37号告示等に基づいて判断。全国の労働局に改めて徹底する」と表明。偽装請負の認定に消極的であった安倍政権下の派遣労働行政を大きく転換させる画期的な表明で、東リ偽装請負裁判高裁勝利判決の力で勝ち取ったものだ。ただ、文書で徹底とまでは明言されず、実際には2月18日都道府県担当へのオンライン会議で指示がなされたのにとどまっていた。

 今回のヒアリングでは、東リ事件兵庫労働局への偽装請負申告時の発言(「37号は後退した」)や4月14日に同労働局に再申告した際の担当発言にも触れ、オンライン会議での位置づけ、資料、やりとり等を問いただした。だが、啓発用パンフを示したこと以外一切まともな回答はなく、会議で確認された核心部分は何かの質問にも担当者は明確に答えることができなかった。

 「こういう状態で全国に周知できるはずもない」との追及には返答もできず。改めて文書通達を出すよう迫った結果、「持ち帰り、検討します」。1か月以内の回答を求めている。

 また、派遣法違反を労働局に申告しても勝手に「情報提供」扱いにされ、まともに対応されない事例、派遣労働者に告知も無く「三六(サブロク)協定」(時間外労働協定)労働者代表選挙が行われたことにされて違法に長時間残業を強いられ、退職に追い込まれた事例など、体験に基づいて当事者組合員が追及。「誤った取り扱いは認められない。指導する」等の言質(げんち)を引き出した。

 引き続き厚労省への要請を継続し、運用の問題を具体的に告発し、派遣法の抜本的な改善につなげていかなければならない。

(なかまユニオン執行委員長・井手窪啓一)

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