2022年04月29日 1721号

【原発事故集団訴訟 最高裁で弁論/国の責任認める統一判決を/トップを切り千葉訴訟】

 福島原発事故の国の責任を問う全国の避難者集団訴訟のトップを切って4月15日、最高裁で千葉訴訟の口頭弁論が行われた。東京電力の責任は3月2日、すでに断罪されたが、国の責任については群馬訴訟、生業(なりわい)訴訟(福島)、愛媛訴訟の高裁判決を受けて、夏前にも最高裁で統一判決が言い渡される予定だ。

 最高裁前には、千葉に続く群馬・福島のほか、神奈川、京都からも原告・弁護団が結集。百人を超える支援者が「判決は、今争われている全国の訴訟の基準として大きく影響する。国の責任を明確にさせ、原発推進の国策にくさびを」との共通の思いを表した。

 法廷では、福島県浪江町から千葉に避難し今年92歳を迎える原告・小丸哲也さんが意見陳述に立った。「緑豊かな静かな故郷に帰りたい気持ちでいっぱい。しかし放射性物質による汚染で財産すべてを失った。国も東電も原発は絶対安全・安心と住民に対し40年間言い続けてきた。それで防潮堤も造らず津波対策も行わなかったのだから、国の監督責任も重大だ。行政に忖度(そんたく)することなく国の責任をはっきり認めていただきたい」。4人の裁判官は身を乗り出すように原告の訴えに聞き入っていた。

 報告集会で滝沢信弁護団事務局長は「原告の話に身を乗り出し、時にはうなずきながら聞いていたのが大変印象的だった。これまで国は『規制権限は法的にはない』と主張してきたが、最高裁の場では口に出せなかった。4月22日の群馬訴訟口頭弁論にバトンタッチできた」と手ごたえを述べた。山崎誠衆院議員(立憲)は「福島は終わっていない。裁判闘争に連帯して、私は国会で、政治の場で頑張る」と決意を語る。

 この日まで集められた公正判決署名は16万筆に近い。原告と家族を支援する会の山本進さんは「笑顔を奪ったのは国・東電のせいだから、責任を明確にしてこそ笑顔が戻せる、と闘ってきた。続く弁論を応援し、最高裁勝利判決を勝ち取りたい」と話した。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS