2022年05月06日 1722号

【1722号主張 横浜撤回 和歌山頓挫 大阪もNOだ カジノ住民投票実現へ全力】

和歌山県カジノ頓挫

 4月20日、和歌山県議会はカジノを中核としたIR(統合型リゾート)整備計画案を否決し、和歌山のカジノ計画は頓挫(とんざ)した。推進派である自民党の議員からも反対が出たためだが、カジノを白紙にもどさせたのは市民運動の力だ。

 和歌山県のカジノ計画は、IR事業者の資金計画の不透明さや過大な来場者見積りなど、きわめてずさんなものだった。それを暴き、反対世論をつくりだしたのは、法定数の3倍以上、2万筆を超える署名を集めた和歌山市住民投票直接請求署名運動をはじめとする市民の闘いである。

 昨年、住民投票とリコールの2つの署名運動を背景に、反対する市長の当選でカジノを撤回させた横浜市に続く市民運動の勝利だ。

一層でたらめ 大阪カジノ

 大阪のカジノ計画は、断念に追い込まれた和歌山県以上にでたらめなものだ。

 松井一郎大阪市長が府知事だった2016年に断言した「IR、カジノに税金は一切使わない」との公約は反故(ほご)にされ、予定地夢洲(ゆめしま)の土壌改良のために公金を使うことを表明。それも、当初の790億円が万博跡地整備で倍の1578億円にふくらんでいた。インフラ等を入れると2482億円にものぼる。年間来場者予測2000万人も、事業者の示す数字の鵜呑みで大阪府市は根拠すら示せない。その来場者をもとに算出した年間売り上げ5200億円も同様にでたらめだ。

 さらに、大阪府市が事業者側と結んだ基本協定は大問題だ。事業者側が採算が見込めないなどと判断すれば、国の認定後でも事業から撤退でき、事業者が自己都合で撤退しても違約金は6億5000万円のみ。土壌改良以外にも、今後、地盤沈下を事業者側が問題視すれば、さらなる公金負担が必要になる項目もある。

 まさに、税金で賭博場をつくるための事業者への便宜供与に他ならない。

住民投票で維新支配阻む

 住民投票をもとめる会は、カジノの是非を問う住民投票の実施を求める直接請求署名運動(5月25日まで)を呼びかけ、目標20万筆(法定数15万筆)達成へ大阪府全域で取り組んでいる。

 この闘いは、資本のもうけのために府市政を私物化する維新の支配を打ち破り、民主主義を発展させる。住民自治の力で自治体本来の役割であるカジノよりコロナ対策=\命とくらしのための政策へと転換させる。それは同時に、維新勢力の全国化を押しとどめる大きな意義を持つ。

 市民の力で誘致を止めた横浜市、和歌山県に続き、全力で署名運動を成功させ住民投票を実現しよう。

 カジノは維新が進める新自由主義政策の象徴だ。カジノ誘致を断念させ、維新府市政を変え、カネより命を大切にする政治を実現しよう。

 (4月24日)
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS