2022年05月06日 1722号

【みるよむ(619)2022年4月23日配信 イラク平和テレビ局in Japan イラクの障がい者は立ち上がる ―労働社会省前のデモ】

 イラク政府は障がい者への給付金を減らし、厳しい生活に追い込んでいる。2022年3月、全国から集まった障がい者が首都バグダッドの労働社会省前で抗議のデモを展開した。サナテレビは、デモの現場を取材し、障がい者の怒りの声を伝えた。

 イラクの障がい者は約400万人という。ところが、政府は障がい者がまともな暮らしをするための取り組みを怠ってきた。

 ある聴覚障がい者は、手話で政府に対する怒りと要求を訴える。「1980年代には政府が障がい者に就労機会を提供したが、今はない。給付金も減額された。政府当局が障がい者に会うことも全くない」

 車いすに乗った参加者は「おむつ代と治療費に6万ディナール(約5200円)かかるのに、収入は毎月12万5千ディナール(約1万1千円)だ。どうやって生活しろというのですか」と怒りをぶつける。

 障がい児の母親は、子どもを受け入れる学校が全くないことに抗議する。「たとえ小学校1年に入学しても、退学させられます」という実態だ。学校教育からも排除されている。

 もう一人の車いすの障がい者は「障がいを持つ市民は貧困線以下の生活をしている。その上、政府は、障がい者を介助する人に支払われた給付金を返還させる決定を行った」と憤る。

労働社会省前を封鎖

 デモ参加者たちは、労働社会省の前で「この労働社会省の建物には泥棒がいる」と一斉に声を上げる。そして、通りを一時封鎖した。慌てた政府の機動隊が出動し、封鎖を解かせた。

 イラクの障がい者の置かれた状況は厳しいが、怒りと要求を結集して政府に立ち向かっている。闘いの声を上げ、人間らしい暮らしを要求する。そのエネルギーは機動隊を圧倒している。日本からもこの闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

 
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