2022年05月06日 1722号

【人間の尊厳を問う沖縄遺骨救出活動 荒川区で資料展開催】

 4月17日、東京・荒川区民会館で「沖縄戦跡と遺骨救出活動資料展」(同実行委員会主催)が開かれた。炭化したおにぎりや砲弾の破片に直接触れ、肌で「戦争」を体験できる資料展に42人が来場した。

 沖縄遺骨救出活動の話、パネル写真からは犠牲者の声≠ェ聞こえてくる。

 遺骨救出活動に参加している杉山英一さんは、自身が撮影した戦時中住民が身を隠した「ガマ」(自然壕)の写真を解説。「火炎放射を受けて全体がレンガ色に変わっている。ペンキで塗ったように真っ黒な箇所は、人が大勢焼き殺されて黒く残っているもの」。遺骨が混じった土砂の写真について「遺骨を赤でマークしたが、マークが無くても遺骨だと分かる」と憤る。

 そうした尊い命≠ェ残っている土砂を政府は埋め立てに使えるのか。まして軍事基地に。人間としての尊厳はどうなるのか。

 沖縄戦戦没者遺族の小谷野浩さんも人間の尊厳を問う。荒川区議会に「沖縄県南部の遺骨混じりの土砂を基地埋め立てに使用しないことを求める意見書」提出の陳情を行ったが、不採択。「『自分の身内の遺骨が混じっている土砂が使われたら』と考えてくれる人が増えれば、遺骨土砂使用中止の運動の輪が広がっていくのでは」と語る。

 小谷野さんは2016年閣議決定された「戦没者の遺骨収集の推進に関する基本的な計画」を知った。「生きている間に親父(おやじ)の遺骨を救出したい」と思い、沖縄戦遺骨収集ボランティアに加わっている。

 杉山さんが、1939年に制作されたレコード『兵隊さんよありがとう』を参加者に紹介する。歌詞には「戦死した兵隊さんのおかげです」など軍人を賛美する言葉が並ぶ。「戦争はある日突然始まるわけではない。今この瞬間にも未来の戦争は始まっているかもしれない」と戦争プロパガンダの危険性を語る杉山さんは、ウクライナ支援の名で戦意をあおる報道や政治家の発言に警鐘を鳴らす。





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