2022年05月13・20日 1723号

【1723号主張 民衆の国際連帯で即時停戦を 戦争支援 便乗改憲を許すな】

ウクライナ口実の軍拡

 日本の好戦勢力がウクライナ戦争を口実に軍拡・改憲策動を加速させている。

 日本政府は「欧州とアジア太平洋の安全保障は不可分」と繰り返し、「自衛隊と英国軍の共同運用・演習の円滑化」(5/5日英首脳会談)「国家安全保障戦略等で防衛力を抜本的に強化」(5/4日米防衛相会談)など軍拡の決意を重ねて示した。5月23・24日には、日本で日米首脳会談、日米豪印首脳会合を開き、中国包囲網の強化をもくろむ。こうした軍拡や軍事同盟こそが紛争をもたらすのだ。

 岸田首相は「自衛隊に対する期待や評価も高まっている」と9条改憲に意欲を示し、改憲集会に緊急事態条項創設などを訴えるビデオメッセージを寄せた。同集会には公明、維新、さらに国民民主も参加した。

 今必要なのは、戦争放棄―戦力不保持と全人類の平和的生存権を掲げる憲法の実践だ。改憲ではない。

軍事支援で戦争長期化

 ウクライナ戦争は実質上、ロシアと、米国など北大西洋条約機構(NATO)の戦争になっている。

 米国議会は第二次世界大戦以来となる武器貸与法を成立させ、バイデン政権が軍事支援を格段に拡大、加速する。ゼレンスキー大統領もこれを歓迎するが、戦争を激化・長期化させるだけだ。NATO事務総長は、プーチン大統領に「最大限の圧力をかけ続ける。長期的に準備する必要がある」と戦争が「何か月、何年も続く」ことを前提とする。

 しかし、平和を願うウクライナ市民は、戦争を長期化させるロシアとNATO諸国のあらゆる軍事支援を非難し即時停戦を求めている(3面参照)。市民の犠牲を拡大し、軍需産業や利権まみれの政治家を肥え太らせる軍事支援は中止させなければならない。国連憲章や国連総会決議も武力ではなく平和的解決をうたう。人道危機を止める即時無条件停戦が何よりも必要だ。

市民の力で平和を築く

 戦争を止めるのは、世界の市民の運動だ。国際的な反戦ネットワーク「ウクライナに平和を」の呼びかけで、5月7日に前後して東京を含め世界各地で共同行動が取り組まれた。

 いま日本の市民として憲法の平和主義を実践することが、即時停戦、東アジア平和構築、改憲阻止実現の力となる。「日本政府は戦争支援をやめ即時停戦を働きかけよ」「中国・朝鮮・ロシア敵視をやめ軍縮・平和外交を進めよ」の声を上げるときだ。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)スピーキングツアー(5/28〜6/5)では、沖縄・南西諸島の反基地闘争から8人がアピールする。軍拡により標的・戦場となるのは、「復帰」50年を経てなお基地に苦しむ沖縄だ。世界、沖縄の市民と連帯し、即時停戦と平和構築を実現しよう。

 (5月8日)
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