2022年05月13・20日 1723号

【第4回ZENKOユース参加団in沖縄 深めた学び 絆と決意胸に】

 第4回ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)ユース参加団in沖縄(5/3〜5/5)には関東・関西などから11人が参加。過去の沖縄戦、現在も続く基地被害、いま造られようとしている名護・辺野古新基地建設について学び、交流。濃密な3日間を過ごした。共同代表の2人に報告を寄せてもらった。

新基地と沖縄戦の実相知る

 初日の5月3日、辺野古現地を訪れました。グラスボートで大浦湾に出ると、海底にはアオサンゴ、テーブルサンゴなどが広がり、“生物多様性の海”を体感しました。新基地建設が進めば、濁り水や潮の流れの変化により一気にサンゴが死滅する危険性があります。また、国が雇った漁船がカヌーや船で抗議する人を監視しています。お金で地元住民を分断し、漁師の生産の場を奪っていることに怒りが湧きます。

 5月4日は南部戦跡に行き、沖縄戦の実相に触れました。糸数アブチラガマでは食料を求めてガマ(自然壕)に入ろうとした住民3人が射殺され、撃ったのは同じ地域の住民と言われています。ひめゆり平和祈念資料館では、10代の学生がどのように戦争に動員されたのかを学びました。学徒隊の動員は軍だけでなく、行政や学校が総動員で未来ある子どもたちを戦場に送り込みます。そこには学生も先生も戦争に“反対”と言えない社会の空気があったのではないでしょうか。

 5月5日は沖縄島の中部を訪れました。読谷村(よみたんそん)のチビチリガマでは、約140人の住民が避難し、捕虜になることを恐れて83人が犠牲となる“集団強制死”が起きました。一方、シムクガマは約千人の住民が避難しましたが、ハワイからの帰国者2人が住民を説得し、投降したため命は助かりました。

 沖縄戦を学ぶことは、戦場で何が起きるのかを知ることです。社会が戦争へと向かう際に、いくつかの分岐点があります。同調圧力に流されることなく、“戦争反対”の声をあげる大切さを学びました。

騒音・有害物質…

 嘉手納基地は、年間離発着が5〜6万回、周辺住民には騒音による健康被害が起きています。また米軍の泡消火剤に使われているPFAS(ピーファス)(有機フッ素化合物)汚染問題が深刻です。PFASは「永遠に残る化学物質」と言われ、普天間基地のある宜野湾市では、湧き水の喜友名泉(ちゅんなーがー)で基準値の32倍という高濃度のPFASが検出され、住民の健康を脅かしています。

 嘉数(かかず)高台から普天間基地を望むと悪天候の中、オスプレイやF15戦闘機が訓練を繰り返していました。人びとが生活する真上を、人殺しのための戦闘機が飛び、騒音、水の汚染、米軍による事件・事故などあらゆることで命が脅かされる異様な光景です。

 *   *   *

 この3日間で「平和とは何か」を考えた時、戦争のない状態はもちろんですが、戦争がなくても日々、命が脅かされている状態は平和ではないと実感しました。

 私たちも、家庭で、学校で、職場で、辛い出来事があり、精神を病んだり、時に命を絶ってしまうこともあります。平和をつくるには、戦争をなくすと同時に、社会の構造的な差別や貧困をなくしていくことが重要です。沖縄の人びと、運動に連帯し、ともに社会を変えていきましょう。

(ZENKO共同代表・田中拓真)



託された平和のバトン

 毎晩交流会を持ち考えを話しあいました。全員が「良かった」と口を揃えたのは、グラスボートで大浦湾のサンゴ礁を見たことでした。海の透明度が高く、様々な種類のサンゴ礁が段を成しカラフルな小魚たちが住処(すみか)にしている様子が鮮明に見えました。美謝(みじゃ)川の流れが変わったら、埋め立てで湾の海流が変わったら、赤土が広がったら…。そのすべてが欠かせない役割を持って維持されている大浦湾の生態系が壊されてしまうことを実感しました。

 ガマの中では、人々が暗闇の中で恐怖と飢えに苦しんだ沖縄戦当時の状況を想像しました。「電気を消したら真っ暗。600人もいたなんて」と驚く半面、「真っ暗だったからこそ親友の死を見ずに済んだ」との女学生の証言を知り、戦争の惨(むご)さを感じました。

民意無視の不条理

 選挙や県民投票を通じて沖縄県民は何度も「新基地建設NO」の民意を示してきました。それでも基地は存在し、新基地が作られ、騒音、水質汚染、飛行機の墜落といった被害が続いていることに、「沖縄ばかりどうして」と思わずにはいられません。那覇空港に降りた途端に見えた自衛隊基地。米軍基地側にのみ設置されたガードレール。轟音で上空を通り過ぎる戦闘機。「この国の三権分立は機能していない」と話す名護市会議員東恩納(ひがしおんな)琢磨さんの言葉に納得せざるを得ませんでした。

戦争のない世界を

 2日目の交流会は、オンラインで全国と繋ぎ「戦争のない世界をつくるために私たちができること」をテーマに話し合いました。ウクライナで戦争が続き日本では基地建設が進む現状に、「戦争のリアルを知らない政治家が戦争を煽っている」「対話を広げ大きな波にしよう」「声をあげることを諦めない」と学びを広げていくことを確認しました。

 交流会では話し足りず、お風呂で、バスの中で、部屋で交流が続きました。3日間で深めた学びと絆と決意を胸に、託された平和のバトンを持ち駆け抜けます。

(ZENKO共同代表・河辺友洋)



東アジアに平和を!沖縄辺野古・南西諸島を戦場にするな! 2022ZENKOスピーキングツアー

滋賀集会
5月28日(土)14:00〜16:00 大津市勤労福祉センター4階 研修室
具志堅隆松さん(遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表)

東京集会
5月29日(日)14:30〜17:00 北区新町コミュニティアリーナ 第二ホール
和田香穂里さん(前西之表市議/戦争をさせない種子島の会会員)
カン・ヒョンウクさん(韓国・円仏教星州聖地守護非常対策委員会教務)

神奈川集会
5月31日(火)18:30〜20:30 鶴見区水晶院 別館
藤井幸子さん(石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会事務局)

京都集会
6月1日(水)18:30〜20:30 京都教育文化センター103号室
楚南由香子さん(てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会 共同代表

北海道集会
6月2日(木)18:30〜20:30 かでる2.7 道民活動センター1010会議室
城村典文さん(戦争につながる自衛隊配備に反対する奄美ネット代表)

兵庫集会
6月3日(金)
18:30〜20:30 西宮勤労会館 第8会議室
宮城秋乃さん(チョウ類研究者)

広島集会
6月4日(土)14:00〜16:30 広島市まちづくり市民交流プラザ 4F研修室C
奥間政則さん(沖縄ドローンプロジェクト)

大阪集会
6月5日(日)15:00〜18:00 西区学働館 4Fメインホール
山城博治さん(沖縄平和運動センター顧問)
DSA(アメリカ民主主義的社会主義者)から

※ゲストスピーカーはオンライン講演、全会場で韓国ミサイル配備反対闘争の最新映像、DSAからビデオメッセージあり。

主催;ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS