2022年05月27日 1724号

【1724号主張/沖縄施政権返還50年/軍事要塞化阻止 平和構築へ】

民意にそむく政府式典

 5月15日、沖縄の米国からの施政権返還50年を迎え、政府式典が沖縄、東京で開かれた。沖縄現地、東京、各地で「基地のない平和な島」を求める市民は抗議行動を展開。「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さんは、ハンガーストライキで新基地建設即時断念、普天間基地の運用停止などを訴え、ネットの賛同署名は2万7千を超えた。

 沖縄県は「平和で豊かな沖縄の実現に向けた新たな建議書」を日米両政府に突きつけ、玉城デニー知事は、ウクライナ戦争が沖縄での地上戦の記憶を呼び起こすとして、「平和、経済、交流など武力によらない手法によって協調を基本とする外交を」と訴えた。

 岸田文雄首相は、こうした民意に背をむけ「辺野古が唯一」をくり返し、日米軍事同盟強化を進める。政府は戦前・戦後、そして今も一貫して沖縄を「捨て石」にする姿勢を続けている。

戦場を押し付けるな

 岸田政権は、沖縄島の辺野古新基地建設だけでなく、馬毛島(まげしま)、奄美大島から宮古島、石垣島、与那国島まで南西諸島に自衛隊基地を新増設し軍事要塞化を狙う。配備されるミサイルは中国、朝鮮半島を射程に入れる。中国敵視をあおり、憲法が禁じる武力による威嚇そのものだ。ひとたび台湾、「尖閣諸島」、朝鮮半島が有事≠ニなれば、沖縄・南西諸島は戦場となる。

 さらに、ウクライナ戦争を利用し、自公政権や日本維新の会など好戦勢力は、敵基地攻撃能力保持、核共同利用、9条改憲、軍事費2倍化へ突き進もうとしている。岸田政権は、軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)と一体となって、ウクライナに戦費・武器支援し、NATO東方拡大に加担している。5月23、24日、米バイデン大統領が来日し、日米豪印4か国首脳会談でロシア・中国包囲網の強化をもくろむ。日本は戦争する危険な軍事大国の道を突き進んでいる。

戦争止める市民の連帯

 島々を再び戦場にさせないと発足した「ノーモア沖縄戦 命(ぬち)どぅ宝の会」に賛同が呼びかけられている。全国から連帯し賛同しよう。

 日本と中国は、1972年の日中共同声明で領土の相互尊重、相互不可侵、恒久平和と、すべての紛争の平和的解決、武力による威嚇に訴えないことを確認し、78年には平和友好条約を結んでいる。市民の力でこの確認を政府に守らせ、平和を構築することは可能だ。

 ウクライナ戦争の即時停戦をもとめ、日本政府は戦争支援をやめろと運動を強めよう。ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)が呼びかける5月28日〜6月5日全国8会場の「東アジアに平和を!沖縄辺野古・南西諸島を戦場にするな!2022スピーキングツアー」集会を成功させよう。

 (5月16日)
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