2022年05月27日 1724号

【みるよむ(621)2022年5月7日配信 イラク平和テレビ局in Japan 麻薬の密売人を免罪する政府を許さない ―バグダッドの市民デモ】

 2022年2月28日、バグダッドで、麻薬犯罪免罪などの不正や貧困の拡大に抗議するデモが国会に向かった。サナテレビはデモ参加者を取材した。

 2018年1月、中部ナジャフ州の知事の息子、ジュワド・ルアイ・アル・ヤシリらが大量の麻薬所持で逮捕された。麻薬の密売をやっていたのだ。彼らはその後、国外に逃亡した。

 麻薬密売は重罪だ。ところが、有力与党の一つダーワ党に所属するナジャフ州知事は権力を使って動いた。イラクの大統領は、この麻薬ギャングの釈放を決定した。これにはカディミ現首相も関与したという公式文書も暴露されている。

 この日、数百人のデモは国会を目指して進んだ。警察・機動隊が道路を封鎖し、デモ隊はグリーンゾーン内の国会議事堂にはたどり着けなかったが、最高裁判所の500b手前にまで達した。デモには国会議員7人が参加し連帯を表明した。

デモ弾圧の責任も追及

 デルガム・マジェドさん(政治活動家)は「汚職を根絶し、デモ参加者を殺害した連中の資料を出せ、という要求を実現するためです」と話す。ナジャフから来た政治活動家アクレム・シャーバさんも「今日のデモの目的は、食料配給カード問題やデモ参加者の殺害者の責任追及、負傷者の治療で、長年の懸案事項でした。重要な要求は、麻薬事件で告発されたナジャフ知事の息子の釈放への抗議です」と語る。また、公共事業予算が実際には使われていない腐敗を告発する。

 中部カルバラから参加したラエド・イブラヒムさんは「社会の多くの階層がデモに参加しています。要求は市民の意見を代表する正当なものです」と訴える。

 このデモは、腐敗追及に加え、民衆を弾圧し命を奪うイラク政府に対する闘いでもある。不正や生活苦を押しつける政府に市民が抗議の声を上げている。日本からも連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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