2022年06月03日 1725号

【みるよむ(622) 2022年5月14日配信 イラク平和テレビ局in Japan イスラム政治勢力サドル派の暴挙 市民デモへの攻撃を許さない】

 イラクでは、汚職だらけの政府に対する抗議デモが広がっている。ところが、政府与党のイスラム政治勢力サドル派は市民に暴力をふるい弾圧している。2022年4月、市民は弾圧への抗議に立ち上がった。

 バグダッドのタハリール広場周辺で数百人の市民が平和的な抗議デモを行った。しかし、治安部隊は「30分後に解散しろ」と命令し、広場から追い出した。

 デモのきっかけは、サドル派国会議員の自宅前での抗議行動で、中部ヒッラ市の活動家ダーガムさんが治安部隊や警備要員に襲撃され重傷を負ったことである。

 サナテレビはその時のスマホ映像を示す。抗議の声を上げる素手の市民たちに、警備部隊が棍棒で襲いかかり、銃撃も行われた。ダーガムさんは頭部を殴られ、20〜30aも縫う重傷を負い、昏睡状態に陥った。

 幸いなことにダーガムさんは命を取り留めた。彼は、サドル派を取り締まらず結託している司法や治安部隊の責任を問い、「平和を守り、人びとの声で要求を実現する」と毅然と発言する。

 サドル派の最高指導者ムクタダ・アル・サドルは、ツイッターでデモ抑圧を認め「ナシリヤのアルハブビ広場にいるデモ隊を殴れ」と信者に呼びかけている。

脅しに屈せず司法に訴え

 サドル派がSNS上に投稿した画像は「ダーガムとその背後にいる連中のための治療法は、この警棒だ」「ヒッラの住人が懲らしめないなら、ナジャフの我々がお前を懲罰にかけてやる」と脅迫する。だが、ダーガムさんは暴力をふるった連中を司法当局に訴えた。

 市民のデモは「根本からの革命だ サドル派に対する革命だ」と声を上げる。市民は暴力支配に屈せず、社会変革の闘いに立ち上がっているのだ。

 サドル派は政府の一員として日本政府とも結びついている。日本からもこの闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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