2022年06月17日 1727号

【みるよむ(624)2022年5月28日配信 イラク平和テレビ局in Japan バグダッド州知事は約束を守れ ―契約労働者の怒り―】

 2022年4月、バグダッド州政府が雇用する地域開発事業の契約労働者が州議会に対してデモを行った。

 2016年、当時のアバディ政権の緊縮政策で労働者は無期限の無給休暇を押しつけられた。実質的な一時解雇だ。この状況に、イラク国民議会は決議315号を採択し、ようやく契約労働者への賃金支払いと常勤雇用化を定めた。

 ところが、唯一バグダッド州だけは、この国会決議を実行していない。サナテレビは「今日に至るまで、バグダッド州議会は彼らを職場に戻していない。中には、2016年以来給与を受け取っていない者もいる」と告発する。

 デモに参加した男性は「この連中は私たちの金を盗んだのです。…金を横取りして政府の幹部の所に行っている」と怒りをぶつけた。こんな目にあった労働者が現在も1200人いると当局も認めている。

 女性の契約労働者は「カディミ首相は、私たちに何もしてくれませんでした。…バグダッド州知事は、私たちに給与を支給することを認めないで、逃げ回っています」と告発した。別の女性労働者は「抑圧された人びとの姿を見なさい」と政府当局に訴えた。

 アピールする男性の労働者は「私たち民衆は抑圧されています。私たちから盗んだ者が今、宮殿に居座っている」と訴える。

「我々は黙っていない」

 デモ参加者は、声高く「出てこい、州知事、市民のことを見ろ/口先の約束にはもうあきた/出てこい、州知事、我々はもう黙っていないぞ」とシュプレヒコールを上げた。政府を追い詰める気概にあふれ、闘いの展望を示す映像だ。

 イラク政府は石油価格の高騰で地域の開発事業に支出する資金がある。だが、政府資金の多くは汚職に使われ、契約労働者には賃金が支払われていない。労働者の雇用と賃金支払いを要求する闘いに連帯したい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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