2022年06月24日 1728号

【沖縄 安和・塩川大行動に330人 豪雨の中 民意を背に牛歩 「小さな一歩が辺野古をとめる」】

 6月6日から3日間、本部(もとぶ)町島ぐるみ会議が呼びかけた「安和(あわ)桟橋、塩川港大行動2022」が闘われた。

 コロナ感染拡大で米軍キャンプ・シュワブゲート前阻止行動が「自粛」を余儀なくされても、沖縄防衛局は辺野古新基地建設のための土砂埋め立て作業はいっさい休止することなく強行を続けた。しかも埋め立てスピードを加速させるため、塩川港の埠頭(ふとう)を整備拡大し土砂運搬船の接岸場所を増加させた。県民の民意である新基地反対の声が無視され、既成事実化が進む。

 これに対し、塩川港を抱える本部町島ぐるみ会議は、なんとか工事を止めたい、土砂搬入を阻止したいという強い思いで、同行動実行委員会を立ち上げ、県内各地の島ぐるみ会議に参加を訴えた。「オール沖縄会議」の賛同を得られなかったものの、糸満、八重瀬、那覇、浦添など多くの島ぐるみ会議が呼びかけに応えた。

 3日間で県内外からのべ330人が参加。今年に入ってからの同じ曜日のダンプ最大搬入数と比較して、安和(名護市)・塩川の2か所で2824台を減らした。運搬船15隻分に相当する大きな成果を手にした。


10〜13時間 立ち続ける

 今年の沖縄のうりずん(梅雨)は、異常気象で平年の3倍超の雨が降り続いている。3日間の行動もすべて激しい雨に見舞われた。

 1日目は、土砂降りで塩川港の土砂搬出作業も中止に追い込まれたが、琉球セメント所有の安和桟橋は作業を続行した。塩川港では朝7時から夕方5時まで、安和桟橋は朝7時から夜8時までという過酷な搬入阻止行動は、豪雨によってさらに参加者に試練を与えた。

 行動内容は、安和も塩川も基本は土砂ダンプの前の牛歩戦術で搬出入数を減らすこと。同実行委事務局長の原田みき子さんは参加者に訴えた。「牛歩は、国会議員も国会で行っている合法的な取り組みです。非暴力で平和的に土砂搬入を遅らせるには、私たちにはこれしかありません」

 ダンプへの牛歩は、辺野古行き土砂のものにしか行わない。久米島など離島行き土砂ダンプや散水車、一般車両は当然止める対象ではない。1日10〜13時間も立ち続けでほとんど休憩することもなく牛歩に取り組むのは、本当に厳しい闘いだ。機動隊や警備会社テイケイのガードマンは1時間交代で休憩をとっている。

 「あつまれ辺野古」共同代表の儀保(ぎぼ)昇さんや奥間政則さんも朝から晩まで行動に加わった。奥間さんは「いつもはこの塩川は本部町島ぐるみの数名だけでやっている。本当に頭が下がる。今日はこれだけ人が集まったから、ダンプは半分以上止まっている」と語る。

辺野古の闘いは続く

 ゆっくりゆっくりダンプ前を横切る牛歩。マイクアピールが繰り返される。「この一歩は子どもたちの未来につながる。平和な沖縄を取り戻すための一歩。小さな一歩だが、大きな一歩」。参加者は、この一歩が辺野古を止めるという確信をつかみとる。

 原田事務局長が8日、最後に行動をまとめた。「みなさんの3日間で過去最大のダンプを減らすことができました。この工事は完成しません。埋め立てから5年でまだ10%しか埋め立てできていません。あと45年かかります。私たちは人数は少ないですが、日米両政府に勝ちます。諦めないで明日からも闘い続けよう」

 翌9日も安和、塩川では朝から10人ほどが牛歩で闘い続けていた。辺野古の闘いは続く。    (N)



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