2022年07月01日 1729号

【沖縄 辺野古新基地阻止/ゲート前行動が再開 強化/分断を許さない現場の闘い】

 コロナ感染は今も人口10万人あたり全国最多の沖縄。米兵の感染ばかりか基地内の従業員からもクラスタ―が出ているが、政府・防衛省は辺野古新基地建設の強行を止めようとしない。

第4ゲートでも阻止行動

 6月4日、米軍キャンプ・シュワブゲート前での県民大行動が半年ぶりに再開し、県内各地から880人が参加。ゲート前の抗議・阻止行動で闘う市民がテント村に戻ってきた。

 座り込み、工事車両の入構阻止行動は、1日3回から5回に増えた。これまで座り込んできた第1ゲート前より300b離れた第2ゲートからさらに北側の辺野古弾薬庫近くに商業用車両のための第4ゲートが新たにできたからだ。

 すでに第2から第4ゲートの国道沿いの森林7・5ヘクタールが伐採され、美謝(みじゃ)川の切り替えのための地質改良工事や赤土対策工事とともにキャンプ・シュワブと辺野古弾薬庫を結ぶ新たな道路建設が始まっている。国道フェンス越しに、基地内の建設現場や作業員、工事車両なども見ることができる。

 第4ゲートに入構する工事関係車両を阻止するため市民は毎日午前11時と午後2時にテント村から移動し、ここでも闘いを繰り広げることになった。6月15日午前11時半、この日も第4ゲートから、沖縄県警機動隊に先導されながら4台のトラックが入り、2台のダンプカーが出ていった。

歌あり体操あり 元気に

 今年1月23日、名護市長選挙で辺野古新基地容認の渡具知(とぐち)武豊氏が当選するや、1週間もたたない28日には第4ゲート開設工事を開始。国は工事のスピードをどんどんあげている。

 コロナ禍でテント村に足を運ぶ市民は減ったとはいえ、この日は那覇島ぐるみ会議など25人が5回の阻止行動に立ち上がっていた。1時間ごとにゲート前に移動し座り込み、抗議する市民は元気で力強い。

 ゲート前では、機動隊が座り込み者に「移動指示」を出すまで、ストレッチ体操などが行われ、闘争歌、琉球民謡が歌われる。「辺野古の海を元に戻せ」「大浦湾の自然を壊すな」「運転手さーん、防衛局のいいなりになるのはやめてください」。シュプレヒコールが30分以上も続く。

 8年前からほぼ毎日那覇市からゲート前に通う沖縄平和市民連絡会の上間芳子さんは「ここは権力との激しい闘争の場だけではない。ダンプ運転者の中に闘いを支援してくれている人も多いのがわかった。機動隊の子もみんなウチナーの子。上から命令が出されても、市民にけががないように気遣ってくれる子もいる。顔を覚えちゃった」と語る。

手を振るダンプ運転手も

 1日でも敵より長く闘う。決して諦めない。新基地建設をとめようと、そうした闘いが海上の抗議船・カヌーチーム、辺野古ゲート前、安和(あわ)桟橋、塩川港の4か所で連日朝から晩まで取り組まれている。

 本部(もとぶ)町島ぐるみ会議の原田みき子さんの言葉が耳に残る。「沖縄の子どもたちはかわいそう。校庭にヘリコプターの部品が落ちてくる。ヘリそのものも落ちてくる。爆音で授業も聞こえない。飲み水の地下水はピーファス(有機フッ素化合物)の毒水。みな米軍基地があるから。未来の沖縄の子どもたちのことを考え、新基地建設を止めるためみんな毎日牛歩をしている。運転手さん、機動隊のみなさん、わかるでしょう」。ダンプ運転手の一人が運転席から手を振るのが見えた。

 県民を分断しようとする政府だが、そうはさせない現場の取り組みがそこにはあった。 (N)





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