2022年09月16日 1739号

【岸田退陣求めるこれだけの理由/コロナ・物価高には無策 軍拡・原発前のめり/憲法違反「国葬」即決する危うさ】

 高い支持率を維持していた岸田政権だが、8月に入り一気に10ポイント以上の下落をみた。それでも菅前政権末期にくらべればまだ「高い」。「悪いことしそうにない」―そんな思い込みが岸田政権を支える空気感だった。だが、やはりこの男も「ワル」だった。支持率低下は「旧統一教会」や「安倍国葬」問題が大きいが、この問題をきっかけに岸田不信が噴出したということだ。

支持率急落

 岸田文雄内閣の支持率はどれほど下がったのか。マスコミ各社で違いはあるが、一番下がり幅が大きかったのは毎日新聞(8/20、21)の16ポイント。不支持54%となり支持36%を上回った。7月の参院選で自民大勝、「(国政選挙のない)黄金の3年間」と政権基盤の安定が言われた中での内閣改造(8/10)だったが、これが市民の反発を呼んだ。旧統一教会とのただならぬ関係があらためて明らかになったからだ。それも次々と。

 政権サポートメディアの産経・フジの調査でも支持率54・3%を維持したとはいえ、8・1ポイント減少した。不支持率は9・4ポイント増の40・3%。旧統一教会との関係をごまかそうとする閣僚・議員の説明に「納得できない」との回答が81・2%にもなっている。

 政権支持率にはある程度の「期待」感が込められている。これを失えば一気に下降する。

 安倍政権は「景気」を強みに支持率を維持したが、モリ・カケ・桜の不正問題やコロナ感染拡大に対応できず、30%台半ばまで低下し、政権を投げ出した。アベノミクスによる景気回復は、統計資料改ざんによる「上げ底」だった。

 菅はその反動としての「期待」から60%を超える高支持率で出発したが、コロナ対策より経済優先、オリンピック強行により、支持率は下降の一途。「パンケーキおじさん」は、日本学術会議任命拒否事件で強面(こわもて)感を逆に強めた。結果、感染拡大とともに支持率は低下。30%前後にまで落ちこみ、総選挙を前に自民党総裁の座を追われた。



 岸田の「高支持率」は、これまでの政権とは違う「期待」の反映だったが、「聞く力」は市民にはむけられなかった。その「力」は経団連など資本家の声を聞くことだった。「新しい資本主義」の看板はその反映でもあった。

「安倍継承」に回帰

 岸田への「期待」はどうなったか。安倍・菅との違いを出そうと口にした政策はことごとく軌道修正した。結局は、安倍路線を継承することが岸田にとっても政権を維持するうえで必要なことだった。

 総裁選で掲げたコロナ対策「岸田4本柱」。1つ目の柱だった「医療難民ゼロ」。救急搬送出来ずに絶命するコロナ患者は後を絶たない。2つ目の「ステイホーム可能な経済対策」はむしろ後退。休業手当や休校助成金などの削減に手を付け始めた。「検査の無料化・拡充」は全数報告の見直しの中で後退を始めている。「感染症有事対応の抜本的強化」は米疾病対策センターを見習った組織づくりが言われているが、かえって弱体化を招くとの指摘がされている。

 軍事費の「GDP比1%枠突破」は軍需産業の利益を代弁する国防族の悲願だった。岸田自身、NATO(北大西洋条約機構)首脳会談に出向き、国際公約としてきた。財源問題など気にするそぶりもみせない。「財政健全化」の目標は党内の積極財政派に押し切られた。広島出身を売りに核廃絶を政治目標としているにもかかわらず、核禁止条約を批准しない態度は、核共有論の安倍と変わらない。

 原発政策もそうだ。「新増設はしない」としていた原発政策をいとも簡単に大転換した。世論の反発を気にすることなく「原子力ムラ」の利害がむき出しになったといえる。

「分配」なく格差拡大

 岸田の金看板「新しい資本主義」、「成長と配分」はどうなったか。

 賃金アップは最低賃金のわずかな引き上げ(全国平均3・3%増、時給961円)で終わった。9月、10月には数千点の品目で値上げが予定されている。物価高は生活を直撃している。わずかな賃上げは現状を維持することもできない。

 原材料費や人件費の上昇に対応しなければならない中小企業への支援は施されていない。既に原材料費上昇分を販売価格に転嫁できず倒産にいたる「物価高倒産」はこのところ急増している。7月は単月最多の31件、8月にも年間最多件数を更新すると見られる。

 その一方で、2021年度の企業内部留保は10年連続最高を更新、500兆円を超えた(9/1財務省発表)。11年度からは1・8倍になっている。こうした実態に岸田は何の反応も示していない。賃上げの原資はあるのに、実質賃金はマイナスを記録している。「分配」の掛け声すら聞こえない。

 政府は年末までに「資産所得倍増プラン」をまとめるという。「所得倍増」ではない。個人の「貯蓄」を「投資」に回す優遇策のことだ。この優遇策は、「投資」に回せる「貯蓄」を持つ者に限られる。貧困格差を拡大するものでしかない。

 岸田の「分配」に「期待」できることは何もない。企業が積み上げる内部留保は、本来労働者に分配されるべきもの。労働者の権利を抑圧し、団結権、争議権の行使すら弾圧する体制をはね返す闘い抜きには、賃上げは勝ち取れないということだ。

民主主義破壊も平然

 「国民が全員反対しても国葬はやる」。政府官僚がそう回答した。主権者抜きの「国葬」とはいったい何なのか。国権の最高機関である国会で118回も虚偽答弁を繰り返した政治家が「国葬」とはあきれ果てる。

 岸田は安倍に2度、3度と煮え湯を飲まされた。「禅譲」の言葉を信じ、総裁選出馬を見送った。次は自分と思ったら、菅が後継指名を受けた。そんな安倍を岸田が「国葬」でおくるのはなぜか。

 その狙いは、「安倍の遺影」を利用し、改憲と大軍拡、資本家が望む「成長」戦略を進めることだ。そのためにも海外から弔問客を呼んで日本のリーダーとして地位を固めたいのだろう。「国葬」日程を2か月も先にしたのは、要人のスケジュール調整に必要な期間だったというわけだ。

 岸田は国会閉会中審査にやっとのことで応じた。本来なら、憲法に基づき臨時国会を招集しなければならない。「民主主義を守る」と語る岸田だが、そもそも「国」を偽装する行為が民主主義破壊である。憲法違反の「国葬」をいとも簡単に決断してしまう危うさ。岸田も先立つ政権同様「ワル」なのだ。岸田には何も「期待」できない。

   * * *

 市民の怒りを甘く見ないことだ。世論調査では「国葬」反対が8割にも及ぶものもある。複数の団体・個人が取り組む「国葬」反対のオンライン署名は、短期間のうちにのべ40万筆を超える。政権への不信感はいつまでも岸田を政権の座に置いてはおかない。早々に退陣させよう。



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