2022年11月04日 1746号

【1746号主張 市民監視と資本のもうけを狙う マイナ保険証強制は許さない】

突然のマイナ強制宣言

 10月13日、岸田政権は2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えることを発表した。

 番号法ではマイナンバーカードの取得は任意とされているにもかかわらず、皆保険制度のもとで健康保険証を廃止してマイナンバーカードに統合するのは事実上の取得強制であり断じて許されない。マイナンバーカードを持たない人の医療は、これから「考えていく」というきわめて無責任、乱暴な対応で、市民の生存権を否定するものだ。

監視国家と大軍拡

 マイナ保険証は、来年4月から原則義務化される医療機関への顔認証システム設置と連動して全市民監視に向けた壮大な一歩になる。すでに進行中の銀行口座、24年度施行の国家資格のひも付け管理に加え、運転免許証や外国人在留カードとの一体化が進められる。

 さらに、政府は国・自治体・民間で個人情報を簡単に共有できる情報連携基盤を作り、自治体給付金をポイントで行う「官民共用キャッシュレス基盤」構築もめざしている。

 実現すれば、キャッシュレス決済の情報などを官民が利用して個人をランク付けし市民の行動の監視・規制に活用するという中国の「社会信用システム」同然となる危険性がある。その道具にマイナンバーカードがなろうとしている。

 政府は、マイナ保険証を契機に医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させ、個人の医療健康情報を生涯管理し、医療・介護費の削減や医療・製薬企業の利潤拡大に使うことを狙う。今国会には医療個人情報の提供を可能とする法案が提出されている。

 来年度政府予算概算要求は、軍事費、原発と全分野でのデジタル化の大増額が特徴だ。大軍拡を推進し、国・自治体が保有する個人情報を資本の利潤のために開放するとともに、戦争協力のための市民監視の体制をつくろうとしている。その突破口がマイナ保険証であり実現させてはならない。

反対の声を地域から

 危険なマイナ保険証だが、強制を阻むことは可能だ。政府は「義務」とは容易に口にできない。保険料を納めている人が保険診療を受ける権利―保険証を持つのは当然だからだ。

 マイナ保険証の取得率は全人口の2割に過ぎず、全国保険医団体連合会の調査では、開業医の8割が保険証廃止と高額の費用負担をともなうオンライン資格確認の義務化に反対だ。マイナ保険証を利用できる医療機関も現時点で3割のみ。マイナ保険証反対のネット署名は開始から3日で10万人を超えた(10/16)。

 マイナ保険証などいらない。自治体議会での反対意見書など運動を強め撤回に追い込もう。

 (10月24日)
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