2022年11月04日 1746号

【沖縄の戦場化は国土の戦場化/戦争させないよう力を尽くせ/ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会 呼びかけ人三上智恵さん】

新基地は自衛隊が使う

 沖縄の闘いはこの数年でフェーズが変わった。米軍に反対するだけでは沖縄県民は平和に生きる環境を守れない。それは沖縄だけではない。「沖縄の問題を自分のこととして」ではなく、「自分の問題として」とらえてほしい。

 去年12月24日、沖縄の2紙が「南西諸島に攻撃拠点」「住民巻き添え可能性も」と大きく報じた。自衛隊幹部は「住民保護の余力はない」とはっきり言っている。軍隊は基地を守り、国を守る。住民は“利用”するものでしかない。沖縄だから命が軽んじられたというのは勘違いで、米軍は“台湾有事では中国軍は横田や横須賀、座間の米軍基地を攻撃する”シミュレーションを行っている。

 中国の持つ火力は日本と比べ物にならない。他の国から支援してもらって中国と戦うのか。ウクライナと同じことが日本列島で起きる直前まで来ている。西側諸国の最前線と位置付けられたウクライナはNATOから武器や弾薬を受け、戦争を終われなくなってしまった。そうなる前に、戦争を始めるようなリーダーやそれを止められないような国民でいいのか、考えなければいけない。

 辺野古に自衛隊の弾薬庫ができる。日本が中国との戦いを維持するにはあと20倍の弾薬が必要という。南西諸島に武器や弾薬を積み上げれば安心なのか。それは私たち沖縄県民を焼くものであり、私たちに向けて撃ち込まれるものになる。

 米海兵隊は去年からEABO(遠征前方基地作戦)を始めた。機動力を持つ少人数の部隊が40の有人島を代わる代わる臨機応変に移動しながら戦う。辺野古のような大きな基地を確保しておく必要が米軍にはなくなった。自衛隊が代わりに戦わなければならず、自衛隊が使うために辺野古の基地をつくっている。現に普天間基地を11月に自衛隊が単独訓練に使う。

避難シェルターいらない

 9月上旬、政府がシェルターの予算化を検討するとの記事が出て、私たちは青ざめた。「誰が何人入れるの」「順番は」と“逃げ勝負”になる。「なぜ沖縄が戦場にならないといけないのか」「それを止めるためにどうするのか」にエネルギーを使わないといけないのに。県庁前で「避難シェルターいらない!ミサイル基地NO!」をスローガンに緊急集会を開き、「県は戦争させないことに全力を尽くせ」と訴えた。

 「シェルターいらない」には反戦平和の側からも批判があった。「オール沖縄」も辺野古を止めるための集合体で、建議書にあること以外には触れない約束になっている。全員が一枚岩である必要はないが、私たちは「戦争を止めることは一番喫緊の課題だ」と考え、「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」をつくった。ブックレット『また「沖縄が戦場になる」って本当ですか?』を発行したので、ぜひ広めてほしい。

 自衛隊がどんな武器をどう使おうとしているのか。アメリカがやりたくない作戦を日本の若者がさせられる。沖縄が戦場になるというのは国土が戦場になること。みなさんの住む地域が大丈夫という保障はない。憲法9条を変えないでいれば戦争にならない、という世界では全然ない。

 12月25日に県庁前で集会を開き、国際通りを「ここを戦場にしないで」と行進する。来年の早い時期に県民大会を開けるようにしたい。みなさんも一緒に歩んでほしい。

(団結まつり前夜祭での発言。まとめは編集部)

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