2022年11月04日 1746号

【最高裁判決を乗り越える道筋示す/福島原発かながわ訴訟控訴審】

 福島原発かながわ訴訟第1陣の第12回控訴審が10月21日、東京高裁であった。原告団長の村田弘(ひろむ)さんが意見陳述。最高裁による「国の賠償責任否定」の不当判決(6/17)を3点にわたって厳しく批判した。

 1点目、未曽有の被害を発生させた事故の深刻さを踏まえた判断なのか。「数十万の人々の日常を奪い、人間関係を壊し、ふるさとの自然も歴史も奪った。『やむを得ない』などという判断を受け入れることができるだろうか」

 2点目、事実に基づく真正な法律判断なのか。「全国の裁判所で続けられてきた審理で、事故に至る経緯や事実関係はほぼ明らか。判決が根拠とする『防潮堤』や『水密化』を否定する事実は、どこにもない」

 3点目、この論法が通るなら事故の再発は防げず、責任は宙に浮き、被害者は泣き寝入りする以外ない。「原子力基本法をはじめとする関連法は、最高裁伊方原発判決も指摘している通り、『万が一にも事故を起こしてはならない』ために定められている」

 続いて弁護団が損害論・責任論をめぐって総括的に主張。報告集会で小賀坂(こがさか)徹弁護士は「津波予見の基礎になる知見として私たちは国の長期評価に加え、実際に起きた貞観(じょうがん)津波(869年)の研究結果を挙げ、横浜地裁判決もこれを前提に国の責任を認めた。最高裁判決は貞観津波の知見を全く考慮していない。東京高裁は最高裁判決にとらわれず、国の規制権限不行使は違法との判断を示してほしい」と求めた。
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