2022年11月11日 1747号

【1747号主張 大軍拡・戦争国家は許さない ZENKOスピーキングツアーへ】

先制攻撃への暴走

 戦争国家体制づくりが急速に進んでいる。岸田政権は、国家安全保障戦略など軍事3文書改定への与党協議を10月18日に開始。「防衛力有識者会議」も連続して開催された。

 そこでは、中国・朝鮮の脅威がくり返しあおられ、ウクライナはロシアよりも防衛装備が少なかったため侵略された≠ニ強調される。敵基地=先制攻撃能力を含め軍事力強化を「抑止力」とし米国と一体で軍拡を進め、財源についても議論するとしている。ステルスミサイルを配備した潜水艦、イージス艦等、最新兵器の導入にとどまらず、ドローン、民間船舶の活用など日本中を戦争体制に作り替える動きが進む。

 だが、先制攻撃は、政府見解でも憲法はもとより国際法で禁止されている。一度武力衝突が起きればなし崩し的に戦争は拡大する。「自衛」の名による軍備増強や攻撃能力保有の議論自体、周辺国から見れば日本が好戦姿勢を示し脅威を作り出すことに他ならない。

 議論すべきは、脅威扇動ではなく、いかに外交努力で戦争を防ぐか、軍拡への増税や社会保障削減でなく、いかに軍事費を減らし市民生活のための予算を拡充するかだ。憲法の平和主義を破壊する政権はいらない。

決して戦場にさせない

 日本政府の軍拡最前線とされた琉球弧(沖縄・南西諸島)の島々では、自衛隊ミサイル基地、弾薬庫等の軍事施設建設が加速している。「国民保護法」に基づくとされた有事訓練や「避難シェルター」検討、民間船舶・空港の軍事利用も進む。全国の自衛隊による合同訓練、日米韓軍事演習は日常化し、11月には地対艦ミサイルを使った初の日米大規模演習も行われる。この「島嶼(とうしょ)防衛、奪還」演習では、住民の住む島々を戦場とするのは前提なのだ。

 最初は偶発的な軍事衝突でも大規模化すれば攻撃対象は琉球弧だけではない。各地の軍事基地、原発等の施設であり、日本全国が戦場になることを意味する。

沖縄連帯・国際連帯を

 戦争を止める展望は、沖縄、世界の闘いと連帯し、地域から軍拡の危険な現状を伝え、市民が戦争ノーの声をあげていくことにある。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は11月26日〜12月4日、全国9会場のスピーキングツアー集会で、馬毛島(まげしま)、奄美大島、沖縄島、宮古島、石垣島の反基地に取り組む市民、米国、韓国など世界で平和をめざす市民と連帯する。また、琉球弧軍事要塞化の写真展や、ZENKO辺野古反基地プロジェクト(ZHAP)、朝鮮半島平和宣言の賛同署名を広げようと呼びかけている。

 岸田政権の戦争推進、命とくらしの破壊を許さず、沖縄、世界と連帯し東アジアの平和を作り出す闘いを進めよう。

 (10月31日)
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