2022年11月11日 1747号

【議会を変える 東京都足立区議 土屋のりこ ジェンダー平等を阻む家族主義?/子育ての窮屈さの背景】

 私事ながら、先日第一子を出産した。産院で繰り返し聞かれたのが「産後育児を手伝ってくれる人は誰か」。里帰りはしないこと、元々パートナーが家事を担当しているが働きながらなので部分的ワンオペになること等を話すのだが、同じことを何度も聞かれるので不思議に思っていた。が、退院し帰宅後、理由を理解した。里帰りなし・共働き家庭の新生児育児はめちゃくちゃ大変!

 2015年、内閣府のおこなった「少子化社会に関する国際意識調査」で、「子どもを産み育てやすい国と思うか」で「そう思う」が日本は最も低い8%だった。

 日本の子育てがなぜ窮屈か。原因は根強く残る福祉の家族主義にある。育児も介護もケアは家族がやるもの―とりわけ女性―と押しつけられ、社会インフラが未発達だ。

 世界では福祉政策におけるケアの脱家族化は基本的な前提であり、育児等家族政策への財政支出がしっかりされている。少子化からの転換を実現したフランスでは、子育て政策への支出はGDP比3%ほどで、子育ての困難を減らすことに支援の主眼を置く。女性に「産め」と言うだけの日本とは大違いだ。社会的資源・支援策の拡充をどう図るかが政治の責任であり大きな課題だと、自分の妊娠・出産をとおして一層見えてきた。

 足立区ではどうか。近年、少しずつ事業の拡充を勝ち取り、産前産後家事支援が1か月から3か月に延長され、今年から産後ケア・宿泊型への補助がスタート。委員会で早期実現をと、強く要望し10月からベビーシッター利用補助の開始も実現した。それらを私も駆使し、なんとか民主的な保育を実施している地域の保育所にも入れることとなったが、ママ友に話を聞いていると制度の認知度は低く、家族から利用を反対されることもあるという。

 ジェンダー平等の実現へ家族主義の脱却! 親などに頼らなくても育児と仕事を両立できる社会実現を目指したい。資源・行政サービスの豊富化、男性の育児が肯定される社会風土の醸成など、育児を取り巻くジェンダーギャップ解消を図っていきたいと思う。

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