2022年11月11日 1747号

【避難者の住宅追い出しに抗う 裁判官忌避と運動で判決強行させず】

 福島地方裁判所で争われている避難者住宅追い出し裁判は第8回弁論(7/26)で突然審理終結が宣言され、その後、10月27日の判決言い渡しが通告された。

 第7回弁論で小川理佳裁判長は原告(福島県)との争点整理を示し、本格的な審理が始まる段階だったが、被告(避難者)が要請した当事者・内堀福島県知事・国際人権法専門家ら6人の証人申請もすべて却下して強引な幕引きをはかった。

 これに対し弁護団(大口昭彦弁護団長)は弁論の再開を求めて10月21日に申し立て書を提出。25日には柳原敏夫弁護士が地裁に赴いて3人の裁判官を忌避する申し立てを行った。折しも10月7日には国連人権理事会の特別報告者が福島原発事故避難者の実態調査を終え、避難者への住宅支援などの継続を訴えたばかり。福島県の追い出し提訴には「賛同しかねる。人権問題にかかわる」と、個別ケースに触れた異例のコメント(共同通信インタビュー)を発したタイミングだ。

 「避難者の住宅追い出しを許さない会」は「国際法に反した住宅追い出しだ。徹底審理を」「福島県は提訴を取り下げよ」と、裁判長の指揮進行への抗議・弁論再開を求める地裁あてハガキ送付や知事あてのファクス抗議などに取り組んだ。

 その結果、忌避申し立ては受理され、予定されていた27日判決は中止となった。「一矢を報いた」というのが、2人の原告や弁護団・支援者の受け止めだ。今後は忌避を巡る攻防を経て弁論再開の新たな日程が示される。再開即判決とさせるか否か、判決まで闘う余地がある。司法の反動化の中、事実認定を基本としたまともな審理を行わせること、裁判を起こす避難者の権利を保障させることも重要な意義を帯びている。

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