2022年11月18日 1748号

【1748号主張 グローバル資本のための岸田経済対策 軍事費削り命とくらしに回せ】

市民襲う物価高 負担増

 円安による食料品や日用品など生活必需品の値上げが相次いでいる。10月に値上げされた食品は月別で最多となる6700品目に及んだ。電気代は21・5%、都市ガス代は25・5%(前年同月比)も上昇。物価高騰がおさまる気配はない。

 10月、雇用保険料は1・7倍に引き上げられ、75歳以上の医療費窓口負担が1割から2割へ倍増。低所得者や年金を減らされた高齢者らの生活を直撃している。

 第7波の新型コロナ死者数は過去最悪だった第6波を超え、累計約4万7千人。今も1日70人超(11/5)で第8波は必至だ。にもかかわらず政府は全数把握を中止。医療拡充を拒み、コロナ対策支出の削減を狙う。

 実質賃金も下がり続けている。8月前年同月比で、1・7%減。この10年間で年平均27万円も減少した。物価高と負担増に加え、下がる一方の収入。命とくらしは危機に瀕している。

誰のための対策か

 岸田内閣は10月28日、「総合経済対策」を閣議決定した。財政支出が訳39兆円、事業規模は約72兆円とされる巨額の「対策」だ。

 閣議決定直後の共同通信世論調査(10/29-10/30)では、政府の物価高対策に「期待できない」「どちらかというと期待できない」の合計は71・1%に上った。世論は、総合経済対策が市民の生活を守るものではないことを見抜いている。

 電気やガス、ガソリンの高騰抑制のためとする補助金は、すべて大企業中心に投入され、収益確保のための支出となる。実施済のガソリン補助金について、財務省すら「販売価格に補助金の全額が反映されていない可能性がある」と指摘するように、石油業界は税金で収益を大幅増加させた。その構図が拡大される。

 総合経済対策には、物価と全く関係のない原発再稼働支援やマイナ健康保険証関連、どさくさ紛れに馬毛島(まげしま)自衛隊基地整備2179億円、辺野古新基地関連330億円など軍事費4464億円まで盛り込まれた。

 物価を引き下げ庶民の負担を減らす消費税減税は拒否し、大資本の収益や軍事費を確保するために巨額の税金を投入するのが、総合経済対策なのだ。

岸田内閣は退陣だ

 今の円安―物価高騰は、安倍内閣以来のグローバル資本のための金融財政政策でつくられたものだ。

 円安によりグローバル大企業は経常利益28・3兆円(4月〜6月期法人企業統計調査)と過去最高益を上げ、内部留保も史上初めて500兆円を突破した。

 いま必要なのは、軍事費削減と家計への直接給付、消費税の減税だ。大企業・富裕層課税を強化し、内部留保を吐き出させ、中小企業支援と大幅な賃金引き上げを実現させよう。市民生活を切り捨てる岸田内閣を打倒しよう。

(11月6日)
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