2023年02月17日 1760号
【新型コロナ ワクチンで感染拡大は防げない 重大な副作用被害の救済を 医療問題研究会 山本英彦医師】
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新型コロナウイルス感染症によるパンデミックから3年が経過した。今回はワクチンの問題を論じたい。私たち医療問題研究会は、世界製薬資本と住民の命・健康をめぐる現在の大きな対決点と考えるからである。
異例の速さで承認
ファイザー、モデルナ社によるmRNAワクチンは、当初臨床試験で95%の感染拡大を防ぐ効果を示すとされ、世界中で急速に広がった。日本では2021年1月特例承認され同2月から接種が始まった。
まず、ワクチン承認過程の異例の速さを見てみよう。
米国でのファイザーワクチンのV相治験(希望多数への臨床試験)の登録開始が20年7月。数万人を検査し11月、FDA(食品医薬品局)に販売緊急承認申請。12月には承認され、同月イスラエルで販売と市民への接種が始まり、1か月で同国の30%が接種した。他国の販売実績があれば日本では許可申請時の臨床試験成績提出は不要という特例承認が適用され、実際に提出された安全性試験結果は160名のデータにすぎない。本来、数年の大規模調査を経て承認、市販となるにもかかわらず、である。
感染拡大阻止できない事実判明
世界市場での販売が広がるにつれ、世界中でワクチン効果に陰りが出てきていることがわかってきた。
製薬企業から独立し科学的根拠に基づく医療関係論文評価組織とされるイギリスのコクラン共同研究が臨床試験でのコロナワクチンについての論評を公表した。「(ファイザーなど)製薬企業からの援助を受けている」と表明した上で、臨床試験でのワクチン成績を高く評価し、有害事象については問題ない程度としている。が、同時に「妊婦についての成績はない」「時間経過とともに効果の減弱がなぜ起こるのかは不明」「長期間有効なためにどうするかが課題」とした。また「ほとんどの研究は変異株出現前に行われた」としている。
市販後のワクチン効果の減弱は多くの論文で見られる。オミクロン株に対するイスラエルの4回目接種を評価した報告では、接種50日で感染防止効果は非接種の人と同じ程度まで減弱することが明らかとなった。
国際的な統計データOur World in Dataから、日本とイスラエルのブースター(追加)接種を含むワクチン接種率と新規患者数との関係(図1、2)を見ると、接種率と新規患者数は関係していない。ワクチン接種によって新規感染が増えた可能性がある一方、感染が減少しなかったことは統計から明らかである。
図3は、厚生労働省アドバイザリーボード(22年9/7)に提出された日本でのワクチン接種歴別の罹患(りかん)(新規陽性)状況の比較である。8月の1週間で、例えば30〜39歳ではワクチン未接種群の罹患が10万人当たり760人、1回接種者で962人、2回接種者で825人と、接種と罹患数は関係していない。他の年齢でも同様だ。
重症化防げずを示す報告
23年1月米ワシントン州(人口約770万人)の保健当局からワクチン接種後の感染(ブレークスルー感染)に関するデータが発表された。実に69万人の感染があり、うち3%が入院、0・5%が死亡との報告だ。データでは、ブースターワクチン接種者がより多くなっているはずの最近の方が入院やICU収容が多い。21年8月ピークのデルタ株流行時は罹患者の入院が3万9893人、21年12月以降のオミクロン株流行時は5万9682人と1・5倍も多い。コロナ患者のICU占有率を見ても、ブースター開始間もない21年4月の占有率は75%、接種が増加するにつれ徐々に上昇し、最近では常時90%を超える。感染ばかりか重症化も阻止できていないことがわかる。
死亡率では、このように時間を追ったデータが出ていない。同保健当局は65歳以上はワクチン接種で死亡率が4分の1に低下≠ニ言っているが、その根拠の完全な情報開示が必要だ。
深刻なワクチン副作用が顕在化
コロナワクチンについて無視できない副作用(行政文書は「副反応」を使うが同じ意味。私が使う場合は副作用とする)が多く指摘されるようになった。
医療機関は予防接種法、製薬業者は薬機法に基づきコロナワクチンの「副反応疑い報告」を行う。厚労省発表の総数には重複や漏れがあり、元の一覧データから精査すると、22年10月までにワクチン接種後の12歳以上の死亡は1946名だ。
12歳以上を対象にしたmRNAワクチンについて第88回ワクチン副反応検討部会(11/11)に報告された死亡事例をまとめてみた。
死亡者は1946名。12〜19歳11名、80歳以上974名と加齢とともに増加する。500名を超える循環器疾患(59名は心筋炎/心膜炎、155名は他の心臓突然死)、170名を超える脳血管疾患などが多い。また、血小板減少を伴う血栓症が13名、伴わない血栓症が12名認められた。10代の死亡11名のうち心臓突然死/不整脈死2名、心筋炎1名、その他の心疾患1名、脳出血1名、自殺1名、不明2名。突然の心停止を起こした13歳男性は入浴後数時間以内に浴槽で亡くなっていたところを発見された。
死亡に直結する症状の発症日と死亡数との関係については図4に示すように接種6日以内、特に3日以内に症状出現が集中している。
高齢者ほど接種日に近く、接種後数時間以内に発熱、その日のうちに心停止を起こす人が多数見受けられる。こうした死亡発生の推移から、高齢者の死亡はワクチン以外の紛れ込みが多いという理屈は成り立たない。
小児接種にメリットなし
5歳から12歳では、22年2月以降10月まで338名の「副反応疑い報告」があり死亡は2名。男性(11歳)はけいれん、脳症を接種翌日に発症。女性(11歳)は心筋炎を接種2日後に発症とある。そのほか7歳の心室細動(心停止の一つ)の報告があり経過は回復とされるが、小児の心停止が後遺症なく正常に戻るのは容易でない。アナフィラキシーが30名、心筋炎/心膜炎が24名報告されている。8歳女性のギランバレー症候群の報告があり、回復していない。けいれんは36名。このような副作用を見ていくと、重症化リスクのきわめて少ない小児へのワクチン接種にメリットはない。
被害救済申請は権利
ワクチン接種開始後22年12月までにすでに約2千名の死亡報告がある。医療施設と製造業者には報告義務があるが、救済申請は被害者自身か家族(遺族)がしなければならない。申請時に膨大な書類が必要な上、自治体に受理させることも簡単ではない(山岡純一郎著『ルポ副反応疑い死』参照)。ワクチン被害者にとって救済を求める申請は当然の権利であり、バックアップが必要である。
重大な副作用を明らかにしていない行政の責任を追及し、完全な情報開示を求めなければならない。そのことは、接種者が接種前にワクチンの功罪を正確に知り、接種するかどうかを自ら判断できる体制を作るためにも不可欠である。
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コロナワクチンが実際に世界中で接種されるにつれ、感染防止効果はなきに等しくなった。重症化を防ぐとの効果もあやしいことが多くの実証データで示された。
一方、重大な副作用は明らかに多数報告されている。これまでも強調されてきたが、ワクチン一辺倒の政策は改めて中止するときに来たと考える。 |
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