2023年04月07日 1767号
【みるよむ(649)2023年3月18日配信/イラク平和テレビ局in Japan イラク市民はドル高による生活破壊を許さない/―「スダーニ首相よ、恥を知れ!」―】
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イラクの通貨ディナールの対ドル交換レートが下落を続けている。輸入品は高騰、物価が上がり、市民の苦しみが増している。これに対して市民は2023年2月3日、抗議デモを行った。サナテレビはデモを取材し闘いを伝えている。
首都バグダッドのデモに参加した市民は「スダーニ首相よ、恥を知れ!」「ドルの価値を下げろ」と叫んでいる。スダーニ政権が物価高に対処していないことに怒っているのだ。
ジャーナリストのアリ・アル・ハヤルさんは「ドルの為替レートの引き上げを要求する」と主張する。ドル高による輸入品値上がりが市民生活を直撃している。
ところが、市民の行動に対し、政府は、暴動鎮圧隊と対テロ鎮圧隊、治安部隊を動員して弾圧しようとしているのだから、怒りは高まる一方だ。
イラク・ディナールの下落は、カディミ前政権の2020年から続いている。1ドル1200ディナールであったのが1450ディナールに下がり、さらに1470ディナールにまで下がった。当然物価が上がり、人々の生活は苦しくなる。
政府は物価高を放置
米国の圧力によって、政府はイラク・ディナールの価値を上げたが、市中の交換レートは変わっていないという。イラクの両替業者はそうした決定などを守らない。一方で「市民は価値の下落したディナールで元の額の給料を受け取っている」という実態だ。
状況は日本もよく似ている。ドル高・円安によって物価が急上昇している。犠牲になるのは経済困窮層をはじめとした市民だ。
石油価格の上昇もあり、イラク経済全体は必ずしも危機的状態ではない。だが、政府はこの下落を放置し、生活困窮が広がっている。サナテレビは、市民の生活を守るために政治を変えようと訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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