2023年04月07日 1767号

【原発避難者住まいの権利裁判第4回期日/居住福祉の確立へシンポジウム/追い出しは生存権の侵害】

 原発事故避難者住まいの権利裁判の第4回口頭弁論が3月22日、東京地裁であった。

 裁判長から被告・原告双方に対し、多岐にわたる求釈明が行われた。報告集会で酒田芳人弁護士は「これはいいこと。被告・福島県には踏み込んだ本質的な質問をしていた」と評価し、「例えば被告が応急仮設住宅の供与期間を延長しなかった理由に挙げる国との協議状況や災害公営住宅の整備状況などについて『状況とはどういうことか。具体的に説明できないか』と聞いた。県の対応の妥当性を判断するために確認しないといけないという問題意識を裁判官は持っている」と指摘した。

 裁判長は被告に「公営住宅法の条文だけで復興公営住宅を県外につくる義務がないと言えるか、説明を」「県の職員が原告の親族宅に行ってどんなやり取りをしたのか、記録があれば提出を」とも求めている。井戸謙一弁護団長は「避難者を見えなくしたいという国・県の一貫した政策の下に2017年3月末の住宅提供打ち切りがあった。この政策の全体的な構造を裁判所に理解させる必要がある」と課題を提起した。

 集会後半のシンポジウムでは、阪神淡路大震災の借上復興公営住宅の立ち退き問題に関わってきた津久井進弁護士が特別報告し、「住まいには生活基盤の機能、コミュニティ構成要素の機能があり、その喪失は人権の危機、“公共”の被害だ。追い出しは平和的生存権の侵害に他ならない」と強調。住まいの権利裁判を支援する会代表世話人の熊本美彌子さんは「原発避難は避難先の広域化、放射能被害による長期化、家族の分断という特有の事情がある。災害救助法はそれらを全然想定しておらず、ただ追い出す理由として使われた」と批判した。



老朽原発うごかすな リレーデモがスタート

 原発回帰・岸田政権の先陣をきる関西電力の老朽原発再稼動ノーと訴え、関電本店前から大阪、京都、滋賀を北上して、高浜1号機(48年超え)、2号機(47年超え)の若狭・高浜到着(4/2)までアピールする。3月21日、350人の市民が意気高く出発した。

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS