2023年04月14日 1768号

【みるよむ(650)2023年3月25日配信:イラク平和テレビ局in Japan ユーチューバーの「名誉殺人」事件 女性の殺害を奨励する刑法にノー!】

 2023年1月31日、イラクの有名なユーチューバーのティバ・アル・アリさん(22歳)が「名誉殺人」の名で父親に殺害された。女性の人権を全くかえりみない殺人事件に、女性、市民が抗議の声を上げた。

 ティバさんは、トルコ在住のユーチューバーだ。サッカー湾岸選手権を観戦するために帰国していたときに事件は起きた。

 彼女は家族によるハラスメントを受けたことからイラクを離れてトルコに住んでいた。自らの日常生活の動画をユーチューブに投稿して、人気を博していた。その中に兄弟からハラスメントを受けていたことを非難する動画もあった。こうした行動を家族の「名誉に反する」として、父親はティバさんを殺害したのだ。

 実は、彼女は犯行の数日前に「父親が自分を殺すと脅かしている録音」をネット上にアップしていた。ここまで深刻な事態にもかわらず、地元のディワニヤ警察は、ティバさんの生命を保護するために何の対応もしなかった。その中で殺人が行われた。

立ち上がる女性と市民

 この蛮行に市民が抗議行動を起こした。参加した女性は、名誉殺人を容認する刑法409条の廃止を要求している。もう一人の女性の活動家も「名誉殺人という名目で、どんな女性でも殺すことができる」と批判する。「たとえ人数が少なくても、私たちは抗議行動に出てきます」ときっぱりと語る。

 モハメド・ジュマ弁護士も名誉殺人を認める法律の改正を要求する。「私たちは今日、ティバ・アル・アリの正義と、すべての女性被害者の正義を求めて立ち上がりました」と訴えた。

 イラク政府は名誉殺人での女性殺害を容認する刑法409条を50年以上も放置している。サナテレビは、差別と抑圧の政策に反対する闘いを伝え、社会を変えようと訴えている。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS