2023年04月21日 1769号
【みるよむ(651)2023年4月1日配信 イラク平和テレビ局in Japan SNS投稿の取り締まりを考える イラクに表現の自由はもともとない】
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イラクでは、SNSへの投稿映像の内容が「下劣・低俗」として、司法当局が取り締まりを強めている。2023年3月、サナテレビはこの問題を取り上げた。
こんな報道がある。「司法当局は、数千人のイラク人がフォローしているソーシャルメディア上の一部ビデオ製作者に、逮捕状と2年の実刑判決を出した」。
この報道について、市民の反応は賛成と反対に分かれている。
あるネット上への投稿では「2003年以降の最高の決断。内務省に千回もの感謝とお礼を言う」と当局に手放しの賛辞を送る。歓迎する市民が「列をなしている」という。
それとは逆に、「政治家が何十億ドルも受け取る一方で、刑務所に入る無実の人々がいて、それを止めるために誰も話ができない」とイラク社会の問題点から批判する市民もいる。
サナテレビは、こうした状況に対してイラクに表現の自由がないことを指摘する。むしろ、宗教を批判することを禁止したり、結社の自由を制限し政治的自由を抑え込んだりする法律が数多くある。
権力者の恣意で規制
サナテレビが言うように「イラクには表現の自由がもともとない」実態なのである。そうした中でのSNS上の表現に対する取り締まりも、「誰も法律をきちんと説明することができない」という状態で行われている。SNSの映像などへの規制も、権力者によるまったく恣意(しい)的なものになる可能性が大きい。
SNSに流れる映像は社会の反映だ。問題の大きな社会はそれだけ深刻な問題がSNS上にも反映される。権力者に映像を支配させるのではなく、まず貧困や格差を拡大する社会そのものを変革することをサナテレビは訴えている。
(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)
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