2023年04月28日 1770号
(実発行日 4月21日)
【1770号 IR・カジノ計画の認定糾弾 主権者の運動で撤回だ】
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住民合意はない
4月14日、国土交通省は大阪のIR・カジノ整備計画を認定した。岸田首相は「日本の魅力を世界に発信する観光拠点となることを期待」と持ち上げた。しかし、カジノ住民投票を求めた21万もの民意を無視した認定は断じて許されない。
直前の大阪府知事・市長ダブル選挙で、維新の会はIR・カジノの争点化を意図的に避けた。ところが当選したとたん「IRに一定の民意が得られた(吉村知事)」と強調する。
だが、選挙の出口調査ですらIR・カジノへの賛否は拮抗(きっこう)しており、住民合意はない。国交省の審査報告書も1000点満点の657・9点。認定条件「600点以上」をわずかにクリアしたが、6段階評価で上から3番目の「B」評価。審査の内容でも「住民監査請求、民事訴訟、署名活動等が存在している状況であり、地域住民との良好な関係構築に関しては課題が残る」とされ、「地域住民との間で十分な双方向の対話の場を設ける必要がある」と指摘せざるを得なかった。
夢洲カジノ 問題は山積
昨秋にも認定との予定がここまで長引いたのは、運動の力とともに夢洲(ゆめしま)カジノが問題山積だからだ。
維新は「IRに1円も税金を使わない」と公言していたが、松井・前大阪市長は事業者が行うべき土壌汚染・液状化対策に「公金」788億円の支出を独断決定。今後、地盤沈下など費用負担はますます膨らむ。
また、土地鑑定で4社中3社の賃料、土地価格、利回りが一致するなど、談合のもとに異常に安い賃料で事業者に土地が貸し出されようとしている。IR全体の売り上げの8割をカジノが占めることについて関西経済連合会の松本会長も懸念を示した。さらに南海トラフ地震のリスク、ギャンブル依存症など多くの問題は全く未解決のままだ。
闘いはこれからだ
市民は諦めていない。14日、政府の計画認定後、ただちに150人が大阪府庁前に結集し抗議の声をあげ、夕方にも反対集会が行われた。先立つ3日には、土地契約差し止めの住民訴訟が大阪地裁に提訴された。「大阪の未来は私たちが決める」という主権者の運動の広がりが、認定を撤回させ、カジノ誘致を中止に追い込む力となる。
自民・維新の進めるIR・カジノや大規模開発も、戦争・軍拡も、市民の税金をグローバル資本のために使い、生活を破壊する。今必要なのは、自己責任を押しつける弱肉強食の新自由主義路線を根本から転換させ、政府・自治体に公的責任を果たさせることだ。
カジノ・戦争ではなく、教育・医療・介護など命とくらしのために税金を使う社会に変革しよう。続く地方選、衆参補選に勝利し、自民・維新にノーの審判を突きつけよう。
(4月17日) |
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