2023年04月28日 1770号

【軍事3文書を批判する意見書/沖縄を再び戦場にするなと沖縄県議会】

 沖縄県議会が3月30日、政府の軍拡方針に反対する意見書を賛成多数で採択した。「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取り組みを求める」もので、衆参議長及び内閣総理大臣や外務、防衛、沖縄担当大臣にあてた。

 要請項目は2つ。1つは、アジア太平洋地域の緊張を強め、沖縄が再び戦場になることにつながる南西地域へのミサイル配備など軍事力による抑止ではなく、外交と対話による平和の構築に積極的な役割を果たすこと。2つめは日中両国において確認された諸原則を遵守し、両国間の友好関係を発展させ、平和的に問題を解決すること。

 全会一致をめざして最後まで文案の調整を行っていたが、結局自民、公明両党は反対に回った。意見書にある「軍事力機能の増強による抑止力の強化がかえって地域の緊張を高め、危険性が増す」との情勢認識は、岸田政権が改定した軍事3文書(安保3文書)の「敵基地攻撃能力強化が戦争を抑止する」考えを真っ向から批判するものだからだ。

 だが、ミサイル基地建設が進行する南西諸島の島民にとって、軍拡ではなく平和外交を求める声は切実だ。「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」など石垣市民は2月7日に、県議会に意見書採択の要請を行った。与那国島や宮古島でも県議会に要請を続けてきた(しんぶん赤旗2/8)。

 沖縄では、政府が行わない平和外交への努力を市民が率先してつくっている。県内外の有志による「沖縄・台湾対話プロジェクト」では台湾の学者4人が「台湾を犠牲にする米高官の訪問」に反対し「軍事協力も支持しない」との声明を出した(ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会メルマガ第116号)。台湾だけでなく、中国の有識者との意見交換も今後、予定されている。

 沖縄県自身も独自の平和外交を展開する準備をしている。玉城デニー知事が7月上旬、中国を訪問する予定だ(4/13沖縄タイムス)。中国との経済交流を目的とした「日本国際貿易促進協会」(会長河野洋平元衆院議長)の訪中に同行する。過去には翁長雄志(たけし)知事(当時)が15年から3年連続で、同協会の訪問団として訪中し、中国政府首相とも会談している。

 こうした「自治体外交」を活発化させるために、県は23年度の組織改正で「地域外交室」を設置。既に副知事が駐日中国大使と面談し、知事訪中の準備が始まっている。

 政府が煽る中国の「脅威」に対し、第11管区海上保安本部長が退任あいさつで尖閣情勢について「激化していない」と語った(4/1琉球新報)。緊張をつくり出しているのは、日本政府の軍拡路線であることは明白だ。市民、自治体レベルの交流促進が、岸田軍拡政権の暴走を止める力になる。

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