2023年04月28日 1770号
【読書室/大阪のコロナ禍3年を検証する 医療・保健所・介護・保育・障がいの現場から/企画 大阪社会保障推進協議会 日本機関紙出版センター 1200円(税込1320円)/なぜ死者が全国最多なのか】
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新型コロナウイルス感染症が日本で広がり始めてから3年。命にかかわるこのコロナ禍についてさまざまな検証がなされている。
大阪府での死者数は、4月5日時点で累計8494人と全国最多。人口で1・6倍の東京都8064人を上回り、100万人当たり死者数は968・5人でダントツのワースト1位だ。
2023地方選でも重要な争点となったなぜ大阪でこれだけひどいコロナ禍が起きたのか=B本書は、医療、保健所、介護、保育、障がいの現場で何が起きていたかを検証するために昨年11月、大阪社会保障推進協議会が企画したシンポジウムをまとめたものだ。
3年間、現場はどれほどすさまじい状況だったかがまず報告される(第1章)。
医療の現場の「これはまさしく災害だと痛感」(病院長)を皮切りに、3割が100時間以上の時間外労働だったという保健所からは、「府民の方に申し訳ない、辞めたい…」(保健師)の思いを抱えつつ救える命が救えなくなるぎりぎりの実態が語られる。介護現場では、「感染した要介護者は行き場がない。まさに地獄の日々」とケアマネジャーは報告する。
では、何が問題なのか(第2章)。大阪府関係職員労働組合は「保健所と職員の削減が問題の根源」と指摘する。2000年まで府全体で61あった保健所が現在18と3分の1だ。「もし00年のまま維持されていれば違う結果が出た」と悔しさとともに思いを述べる。
維新府市政の10年超、公立病院も保育者も、公的な体制・人員はことごとく崩され削られてきた。それらを全面推進してきた維新へのノーが今必要なことが改めて確認できる。 (K) |
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