2023年05月05日 1771号
【たんぽぽのように/植民地主義と民主主義/李真革】
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尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の支持率が20%台に下落したという世論調査の結果が出た。対日「屈辱外交」論難に続き、米国情報機関の盜聴疑惑が悪影響を及ぼしたと見られる。就任前から米韓同盟復元、日韓関係改善、日米韓安保協力強化を対外政策の核心に挙げた尹大統領だったが、誤った歩みの結果、支持率の下落と国民の激しい抵抗に直面することになった。
尹政権は、強制動員に関する2018年の韓国大法院判決に対して「第三者弁済」方式による「解決」を提示し、日韓首脳会談まで行われた。だが、強制動員被害者の生存原告である李春植(イチュンシク)、金性珠(キムソンジュ)、梁錦徳(ヤンクムドク)の3人の方々は「第三者弁済方式の賠償金を受け取らない」という意志を公式に明らかにした。
そして、全国各地で1人デモと集会が継続して開催され、日韓両国の市民団体や様々な大学の教授協議会からも抗議声明文が続々と発表されている。
去る2018年10月、韓国大法院は▽日帝の植民支配は不法であり、▽これに基づいてなされた強制動員は反人道的犯罪行為で、▽1965年の日韓請求権協定の適用対象ではないので、▽日本の加害戦犯企業は被害者に賠償しなければならない―と判決を行った。
その後、日本の保守陣営は強制動員の違法性と強制性を否定するために、「徴用工」など今まで使っていた表現の代わりに「旧朝鮮半島出身労働者」という用語を使い始めた。日韓首脳会談を終えた後、記者会見で岸田首相はこの用語を使用し、改めて強制動員の違法性と強制性を否定した。
韓国と日本の保守勢力は、強制動員被害者と市民たちが長い間闘ってやっと得た判決を無視し、廃棄しようと策動している。検事出身の大統領が裁判所の判決を否定し、被害者の人権を抑圧するというアイロニー(逆説的事実)は多くの人々の怒りを買っている。
今、この問題は単に日韓の歴史問題ではなく、普遍的な人権と人間の尊厳の回復の問題であり、民主主義の問題でもある。違法な植民地支配の責任を問わず、植民地主義を清算しようとしない「未来志向」に、友好も未来もない。
これまで連帯してきた日本と韓国の市民たちが、もう一度力を合わせて東アジアの平和を守らなければならない時だと思う。 (筆者は市民活動家、京都在住) |
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