2023年05月12・19日 1772号
【SDCC/防衛省・環境省と交渉/展望ない軟弱地盤工事/大浦湾を海洋保護区に!/ジュゴン保護キャンペーンセンター(SDCC)共同代表・蜷川義章】
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オール沖縄は辺野古新基地建設断念を求める国会請願署名を取り組んでいます。沖縄県は「国による設計変更不承認取り消し」は違法と最高裁に上告、今夏にも判決が出される状況です。政府が地方自治を無視し県の設計変更不承認を取り消しても、軟弱地盤の改良工事など展望はありません。
米国は了解していない
4月14日防衛省、環境省と交渉を持ちました。
昨年9月米連邦議会軍事委員32人に送った「(軟弱地盤などの問題を詳述した)書簡」にリード上院軍事委員長が「現状の理解に努めたい」(10/20沖縄タイムス)とコメントしました。「米国は軟弱地盤の改良工事の設計変更を了解したのか」との私たちの追及に、防衛省は「設計変更が軟弱地盤のためであることを米側に伝えている」と回答、「米国は了解している」とは答えませんでした。米国に伝われば政治的な問題が出てくるからです。
次に、沖縄県が4月5日発表した「昨年7月に名護市久志沿岸域で発見されたジュゴンの糞」について見解を求めましたが、沈黙したまま。辺野古から数`の久志沿岸域でジュゴンの糞が発見されたのは、ジュゴンが辺野古大浦湾の餌場を求めて回遊していたからに違いありません。莫大な税金をつぎ込んで「ジュゴンはいない」とする防衛省の杜撰(ずさん)な調査。ジュゴンなどの保護について助言すべき環境監視等委員会は「ジュゴン保護より基地建設」を優先。防衛省に工事を中止して、環境監視等委員会で「久志沿岸域でのジュゴンの糞の発見」について議論することを求めました。
COP15決定を無視
大浦湾は262種の絶滅危惧種を含む5334種が生息する生物多様性豊かな海域です。昨年12月、生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は「生物多様性の損失をくい止め、回復傾向へ向かわせる」ために「最低30%の陸海域を保護区とする」「(とりわけ)重要な地域の損失をほぼゼロにする」と決めました。岸田内閣はCOP15をふまえて「生物多様性国家戦略」を決定しましたが、「生物多様性の観点から重要度の高い海域」(2014年3月環境省決定)については「利害関係を調整する」「一律に扱わない」としています。米軍基地を建設している辺野古大浦湾が「重要度の高い海域」の対象になっているからです。
今こそ国際連帯の力で
埋め立て工事開始後、沖縄ジュゴンが1頭死亡、2頭が行方不明になりました。19年9月にIUCN(国際自然保護連合)が環境省、沖縄県、NGOとの意見交換のため来日。議論の結果、環境省、沖縄県にジュゴンの調査と保護計画の策定を求めるとともに、米軍基地建設がジュゴンの餌場に影響を与えないように警告しました。IUCNメンバーが参加する環境NGOミッションブルーは世界147海域のHope Spot(ホープスポット)≠フ一つに、辺野古大浦湾一帯を日本で初めて認定しました。
COP15の決定をふまえて、日本政府は辺野古大浦湾一帯を保護区にしなければなりません。ジュゴン訴訟をともに闘った米国生物多様性センター(CBD)とともに大浦湾の生物多様性を実証するために環境DNA調査を検討しています。
「大浦湾を海洋保護区に!」を求める国際連帯で、展望のない辺野古新基地建設を阻止しましょう。

SDCCリーフレット
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