2023年05月12・19日 1772号

【評点“爆盛り”の夢洲カジノ「認定」/「7つの条件」も武器に撤回を】

 4月29日、大阪市内で「夢洲(ゆめしま)カジノ『区域整備計画』認定『審査結果報告書』を読む」が行われ約50人が参加した(主催―大阪の未来は府民が決める 夢洲カジノを止める会NEXT OSAKAチーム)。

 4月14日、国が「7つの条件」を付して夢洲カジノ「区域整備計画」を認定したが、その「審査結果報告書」の内容は、計画の問題点を逆に浮き彫りにした。大阪弁護士会の高橋敏信弁護士が、認定に至る経緯や報告書内容を解説した。

要求基準は誰が認めた?

 計画認定の流れは、「特定複合観光施設区域のための基本的な方針」記載の要求基準への適合を確認した上で、評価基準に沿って審査委員会が評価。その審査結果に基づき、国土交通大臣が認定というものだ。

 しかし、審査報告書を見ても、要求基準に「該当」したことを誰がどのように判断したかは不明だ。

 要求基準は▽IR施設を確実に設置できる根拠についての妥当性▽地域における合意形成の手続▽観光及び地域経済の振興への寄与▽カジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除など19項目。適合と言うのであれば、IR区域の整備による経済的社会的効果や効果を見込む根拠が明らかにされなければならない。

 600点という合格ラインは事前に公表されていなかった。「評価」そのものが「認定」ありきであったことは明白だ。高橋弁護士は「評価基準について1000点満点中600点以上が認定可能とする中で657・9点は低水準。中身を見ると下駄を履かせて可にしたという印象を拭えない」と疑問を呈した。

 評価基準25項目の内、得点率60%以下が6項目。中でも、▽観光への効果▽カジノ施設のデザイン等▽地域との良好な関係構築のための取組の3項目は50%台という低水準だ。

反対運動の力が反映

 また、認定にあたって「7つの条件」が付された。これらの条件(別掲)は、本来認定以前に行われていなければならないものだ。

 これらは、夢洲カジノを止める会をはじめとする精力的な反対運動がなければ示されもしなかったはずだと高橋弁護士は語る。今後の活動では、この「7つの条件」を活用する方策があるのでは、と提起した。

 参加者は、夢洲カジノ撤回に向けた新たな取り組みへ確信と決意を固めた。

計画認定の7つの条件(骨子)

1.デザインに「日本らしい」デザインや外観を
2.地域経済への効果推計データ精緻化、実現へ
3.収益を十分に非カジノ事業へ投資、安定した運営を
4.地盤沈下、液状化対策、土壌汚染の対応策等検討
5.地域との十分な双方向の対話、良好な関係構築
6.日本人依存症防止対策
7.各施設のコンテンツ等に「日本らしさ」を

◆審査結果詳細は観光庁・特定複合観光施設(IR)[7 区域整備計画の認定]
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