2023年05月12・19日 1772号

【子どもの生き方尊重し 学校を取り戻す/内田良子さん講演会】

 3月19日、フリースペースひまわり主催で心理カウンセラー内田良子さんの講演会を開催し、小学生を含む30名の参加がありました。

 昨年全国で24万人を超える小中学生が不登校になっていると報道されましたが、文科省や自治体の対策は、学校復帰か学校の外に受け皿をつくり子どもを行かせることが中心です。子どもが居場所と思えないような現在の学校を変えようという話はほとんど出てきません。そこで、子どもと親の声を直接聞いてきた内田さんの講演会を企画しました。

 最初に内田さんは「子どもには安心して休み心の傷を回復する権利がある。不登校の回復は学校に戻ることではなく人に対する信頼を取り戻すこと」と切り出しました。最近各地で作られている「不登校特例校」について、「時間割を減らしたり、子どもの数を少なくしている。学校を全部特例校のようにすればいい」と学校を変える必要性を強調します。また経済的な格差が広がる中で「無償で安心して行ける学校をとりもどすことが課題」とも語りました。

 不登校の小中学生は2012年から急増。子どもが学校を休み始める時にはすでに限界を超えているのに、不登校未然防止対策として登校圧力をかける。心身に不調が出ると精神科医療を勧める。子どもの声を聞かずに行われる対策が、親子関係を悪化させ子どもと親を追いつめています。

 内田さんは「親は『今まで無理に登校させようとして悪かった。ゆっくり休んでいいよ』と子どもに言ってほしい」と述べます。「スマホやゲームは子どもの心の暗闇を照らすあかり≠ナあり、子どもは安心できると文化的資源にアクセスしていく。傷ついた時に何によって回復するか本能的に知っている」と家を居場所にして回復する大切さを語られました。

 親・大人の役割は「不登校・ひきこもりの見方を変えて、子どもの味方になること。親は親の会で交流してブラッシュアップすること、自分の人生を豊かに楽しむこと」。また、子どもの話を聞くことをキャッチボールに例えて「子どもの投げるボール(言葉)を辛抱強く待ち、受けとめる。話の腰を折らない。説明やアドバイスをせず、対等な立場で聞く。話を最後まで聞くこと」と語りました。

親 教職員 市民の連帯を

 参加者の「どうしたら子どもが自信を取り戻せるか」という質問には、「まわりが子どもの生きざまを否定しないことが大事。家を居場所に暮らすことは生き方の選択の一つだろうと思います」と。

 講演会を通じて、親や大人がするべきことが見えてきました。「子どもの生き方を尊重することと、子どもにとって等身大の学校を取り戻すことの二本立て」です。そのためにも、子どもと大人どうしの連帯、親・教職員・市民など大人どうしの連帯を強めていきたいと思います。

(大阪・フリースペースひまわり 小川裕子)



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