2023年05月26日 1773号

【東リ偽装請負裁判闘争勝利/非正規労働者の希望の成果を全国へ/全東リなかまユニオン】

 5月14日に大阪市内で、「東リ偽装請負争議・勝利報告集会」が約70人の参加で行なわれた。(主催―就労を求める全東リなかまユニオンを勝たせる会)

非正規労働者の希望に

 井手窪啓一なかまユニオン委員長が、今後の抱負も込めてあいさつした。

 「闘いの当初は、このような全面勝利の日は見通せず、先の見えない中をがんばってきました。私がこの闘いで一番すごいと思ったのは、組合員5人が誰一人欠けることなく闘い続けたことです。これが本当に素晴らしい。裁判の時には必ず5人が仕事等を休んで参加し、その中で団結も固められていったと思います。復帰した職場には課題が山積しているので、これからは職場を変えていく闘いへと進んでいきます。そして、全国の非正規労働者のために、この成果を還元していき、最終的に非正規労働をなくす出発点にしていきたい」

 「就労を求める全東リなかまユニオンを勝たせる会」の2人の共同代表も続いてアピール。
「最近は和解解決が多いが、このようにスッキリした勝利は本当に久しぶりだ。この闘いを、これからのさまざまな闘いの目標にして、がんばっていこう」(大橋直人さん)「東リの一審(神戸地裁)で不当判決を行った横田昌紀裁判官が、現在、私たちの労働組合(連帯ユニオン 関西地区生コン支部)が闘っている大阪地裁の審理を行っている。東リの闘いのように勝利していきたい」(西山直洋さん)

今後につながる勝利

 弁護団長の村田浩治弁護士が、この闘いの成果と今後に活きる意義を報告。

 「この東リ偽装請負事件は、労働者派遣法40条の6の『申し込みみなし』制度に基づけば、従業員としての地位が確認されるという法理を、一審の敗訴から覆して勝ち取った闘い。大西克彦弁護士や安原邦博弁護士とも話していたが、これで勝てなければ、今後の非正規労働者の闘いは、本当に厳しくなると思っていた。また、職場復帰する3月27日までの扱いが、派遣元会社としての処遇のままという係争を現在に残してしまっている。しかし、この勝利は、すべての非正規労働者の希望となっている。これからもともに歩んでいきたい」

 伊丹市議のおおつる求(もとむ)さんは「伊丹市の会館のネーミングライツを、東リ(株)が取得していることに対して、行政に見直しを求める行動を起こした」と報告があった。

 会場には、東リ闘争を2回記事にした東京新聞の宇佐見昭彦記者も。「この記事を書く資格があるのかを問いながら取り組んできた」。労働組合員として自ら闘えているのかと自分に問う発言だった。

闘いはここから

 最後に、3月27日に東リ伊丹工場へ職場復帰した「全東リなかまユニオン」の5人の組合員が、感謝とともに近況を報告した。

 有田昌弘書記長は「やっと一息つけると思っていたが、これからはこの古い職場環境を変えていかないといけないと思っています」。藤澤泰弘執行委員長は「この解決にまで至れたことに、弁護団や支援してくださったみなさんに感謝しかありません。5人は別々の部署もしくはシフトに配属され、同時に働くことはできていません。そして、若い人でさえ次々と辞めていく過酷な重労働の職場で、3人が腰を痛めたりしています。これからは職場をよくしていく闘いに臨んでいきます。これからもご支援をお願いします」と訴えた。

 会場から「闘争に勝って腰痛に負けたらアカンで。次は労災や労働安全委員会で闘っていきや」との檄もとび、今後も「就労を求める全東リなかまユニオンを勝たせる会」とともに、みんなで勝利していくことが確認された。

東リ偽装請負裁判

 2017年3月、建材メーカー大手の東リ活ノ丹工場の派遣労働者が労組を結成して偽装請負を告発したところ、会社が組合員5人を職場から排除。この不当解雇撤回を求めた裁判で、21年11月、大阪高裁は労働契約申込みみなし制度に基づき雇用関係を認定する勝利判決。22年6月に最高裁で判決が確定した。

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