2023年06月02日 1774号

【1774号主張 平和破壊、停戦阻むG7 戦争と悪法の岸田を止めよう】

戦火を拡大させるG7

 5月19〜21日、広島でG7(主要7か国)サミットが開催され、ウクライナ戦争拡大につながる首脳宣言が発せられた。訪日したゼレンスキー大統領と会談した米バイデン大統領は、欧州同盟国によるF16戦闘機のウクライナへの供与を容認。ウクライナ軍パイロットを訓練する方針を明らかにした。英国も同様の訓練を行い、米国は517億円相当の弾薬等も追加提供する。岸田首相は自衛隊車両100台の提供を表明した。

 岸田政権は、ウクライナ戦争での和平案を模索する中国を敵視し、あらゆる動きから排除し即時停戦・和平交渉の可能性を潰そうとしている。軍事支援、戦争拡大に奔走したのだ。

 だが、事態は好戦勢力の思惑通りには進んでいない。米バイデン大統領は債務上限問題を抱えて自国の政府機能すら危ぶまれる。影響力を強めるグローバルサウス諸国との会合も欠席した。ゼレンスキー訪日自体が好戦勢力の焦りの表れだ。面会したインドのモディ首相は中立的な立場を崩さず、ブラジル・ルラ大統領とは会談もしなかった。両国は戦争でなく外交・対話によるウクライナとロシアの仲介に意欲を見せている。

軍拡と排外主義は一体

 ウクライナ戦争と「台湾有事」を口実に、岸田政権は戦争をあおり大軍拡を進める。その軍事費を確保するための軍拡財源法案が、衆院財務金融委員会で自公与党によって可決された。同法は、赤字国債を軍事費の原資とすると同時に、国立病院機構と地域医療機能推進機構の積立金まで軍事費に回す内容を持つ。命・人権に関わる医療を犠牲にし、政府予算を無尽蔵に軍事費につぎ込もうとする政権の姿勢を示すものだ。

 命・権利を踏みにじる政権の姿勢は、入管法改悪案にも示されている。今回の改悪案は、収容を前提とした全件収容主義、司法審査が欠如した無期限収容、子どもの収容を禁止する規定の欠如、難民申請3回以上で強制送還可能など、戦争を支える排外主義に貫かれている。市民の反対運動が急速に広がっている。

市民の力で平和を

 戦争を止め平和と民主主義を作り出す原動力は国境を超えた市民の連帯にある。

 PEACE in UKRAINE(ウクライナに平和を)などは、バイデン、プーチン、ゼレンスキーに対し即時停戦を求める国際署名や「ウクライナ平和のための国際サミット」(6/10〜6/11ウィーン)を呼びかける。

 ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は、沖縄・琉球弧の島々、韓国、米国の市民と連帯し、「台湾有事を起こさせない!対話で平和を!」スピーキングツアー集会(5/27〜6/4)を各地で行う。大きく成功させ、東アジアの軍事化を止め、平和を発信しよう。

 (5月22日)
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