2023年06月02日 1774号

【「ハンストで死亡の疑いも」 デマ発言連発する梅村みずほ参院議員/維新の反人権体質 浮き彫りに】

 5月12日から参議院審議に入った入管法(出入国管理及び難民認定法)改悪案。2年前、ほぼ同じ内容の改悪案が廃案になったのは、名古屋出入国在留管理局(入管)収容所でのスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの死を機に、入管行政の人権侵害が厳しく批判されたためだ。不当な扱いを受けている難民申請者や在留外国人、支援者の闘いが廃案へと追い込んだ。

支援者・本人のせいに

 今回、このウィシュマさんの死は「支援者や本人のせいだ」と言わんばかりの発言を繰り返している議員がいる。日本維新の会梅村みずほ参院議員だ。

 参院本会議(5/12)で、維新を代表し質疑に立った梅村は、「支援者の一言が『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況につながった恐れも否定できない」と発言。病状が悪化したのは仮病を装うように唆(そそのか)したせいだと支援者に非難の矛先を向けた。入管が責任逃れのためにつくったでっちあげ報告書をネタ元にした。

 デマと知りながら「恐れが否定できない」と持って回った表現で支援者に責任をかぶせた。遺族、支援者などから猛抗議を受けながらその4日後の法務委員会(5/16)で、またも同じ手口の発言を行った。「ハンガーストライキによる体調不良によって亡くなったのかもしれない」と今度は、命を縮めたのは本人のせいだと印象づけている。

 梅村は「すべての資料や映像を見て発言したもの。真意が伝わっていない」(5/17JNN)と取材に答えている。しかし、梅村のいう「詐病」は入管の報告書(22年3月再提出)にも書かれていない。「ハンスト」は入管自身否定している。

 すべて承知の上で、デマを振りまく「真意」は何か。ウィシュマさんの死に責任ある入管を免罪し、2年前のような反対運動の広がりを抑えようというのだ。この役割を引き受けることで、参院議員1期目の梅村は維新の代表質問者になった。

 梅村は昨年8月、日本維新の会代表選に出馬した。その動機などを自らのサイトに載せている。「政治の世界に来て、亡くならなくてよかった命はあると日々思います。それらは政治によって全力で救っていきたい」。梅村にとって、ウィシュマさんをはじめ、人として扱われず収容所で死亡した多くの外国人は救うべき対象ではないということだ。

ヘイト発言と認めず

 日本維新の会は、梅村を法務委員会から降ろした。発言内容を咎(とが)めたわけではない。「党の指導や指示を逸脱した」(藤田文武幹事長)からだ。音喜多駿政調会長は当初、「問題提起として間違ったことをしたとは思っていない」と述べていた。梅村のヘイト発言は維新の会の考えと違いがないということだ。

 梅村発言に怒りの声が広がっている。入管法改悪反対の闘いは維新の会、梅村の狙いとは逆に、さらに一層の広がりを見せている。維新の会を徹底的に糾弾し、改悪案を廃案に追い込もう。
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