2023年06月02日 1774号

【なかまユニオン韓国連帯ツアーに青年労働者が参加/ユン政権の大弾圧との闘いに触れる】

 なかまユニオンの井手窪啓一委員長と若手執行委員ら4人が5月4〜7日、韓国を訪問。希望連帯労組や青年ユニオン、争議、集会の現場を訪れ、交流・連帯した。闘いの息吹に触れた思いなどを参加した若者に寄せてもらった。

見て聞いて感じた/韓国労働者の怒りと衝撃

 ゴールデンウィークを利用し韓国の首都・ソウルを訪れた。目的は韓国で活動する人々との交流であり、各労組との交流会、抗議活動の現場への激励を行った。また、韓国労働運動の象徴である全泰壱(チョンテイル)氏の記念館の訪問、ソウルでのデモ行進の見学によって、韓国労働現場の知見を広げた。

 5月4日、初日ということもあり、ソウルのホテルへ移動するのみとなった。私、明日那は、現地でゲストハウスも営む映画監督のオ・ソヨンさん宅に泊めていただき、大変お世話になった。彼女は案内役として毎日活動に同行していただき、感謝している。

 5日は、午前中に全泰壱記念館を訪問し、午後は希望連帯労組との懇談会があった。その後、ソウル世宗(セジョン)ホテル解雇争議の座り込み現場に行き激励を行った。全泰壱記念館は、縫製工場の劣悪な労働環境に抗議した青年が1970年11月焼身自殺をし、そこから労働運動の気運が高まった事件に関する記念館だった。



 民主労総ソウル本部の会議室で行われた懇談会では、日本から送った質問に対する質疑応答が行われた。なぜ韓国で今、労組に対する大弾圧が起こっているのかの質問には、「尹錫悦(ユンソンニョル)現大統領は、労組弾圧によって自らの支持率が上がったからだ」という答えが返ってきた。貨物連帯労組に対し嘘の罪を着せ、「労組は腐敗した」と流布している。今ターゲットになっているのは「建設労組」だ。尹大統領の韓国内での支持基盤が弱く、労組嫌悪≠政治に利用している。世宗ホテルでは不当解雇事件が10年以上続いており、激励のメッセージ、日本からのお菓子、少額だがカンパをお渡しした。

 6日には午前、全泰壱氏が実際に焼身自殺を決行した跡地や縫製工場、周辺の商店街を訪れた。物作りの街で、衣服の材料や道具はすべて揃う素敵な街だった。午後は青年ユニオンとの交流会があり、若者が集ったせいか忌憚(きたん)なく意見が飛び交い、予定時間より長く議論がかわされた。内容としては、労働運動の展望や現在の想い等を語り合った。



 夕方、「平和の少女像」を見学し光化門(クァンファムン)事件の集会に参加した。光化門事件とは、5日前のメーデーの日に大弾圧に抗議して焼身自殺を図った「江原(カンウォン)建設支部のY支隊長50代が2日に永眠した」という事件。私たちも漢江(ハンガン)聖心病院でロウソク型のライトを持ち、黒い鉢巻をして追悼に参加した。1週間経ってなお追悼式は続いており、韓国労働者の怒りと衝撃を強く感じた。井手窪委員長は演説台に立ち、「政治家による労組への横暴は許されない。日韓連帯して共に勝利しよう」と語った。

 今回の韓国訪問を通じて、私自身は日韓連帯の必要性を大きく感じた。実際に見て聞いて語ると、労働運動への造詣(ぞうけい)がより深まった。

    (京都・明日那)


青年ユニオンとなかまユニオン/共通の課題と展望を交流

 5月6日、青年ユニオンからの活動報告と双方の意見交換を行った。青年ユニオンは2010年創立し、リーマンショック等の経済危機を背景に求職者・非正規等の弱者を代弁するため活動を展開。青年労働問題を世論に訴え、ソウル市と交渉し働く場を作る協約を作成した。その後、協約を基にした条例が制定された。

 しかし成果がある一方で課題もある。2016年ロウソクデモを経て文在寅(ムンジェイン)政権が誕生したが、青年たちの期待を裏切る形となったため政治への期待感が薄れ、どの政党も支持しない人が増加した。市民運動への支持も得にくくなり、青年ユニオンの組合員も約2千人で頭打ちとなり伸び悩む状況が続いている。

 私はこの課題は日本にも共通すると感じた。民主党政権が国民の期待を裏切り、それ以降は投票率が低下し政治への期待が下がった。また労組組織率も低下し、なかまユニオン組合員数も横ばい状態である。

 日韓は同様の課題がある。だからこそ、双方の労組の連携がより大切になると考える。青年ユニオンからは定期的にZOOM等で交流することも提案いただいた。交流や議論を深め、両国の労働問題を解決する知恵を見出していきたい。

   (滋賀・伊東勇希)

数年ぶり訪問も絆を実感/闘いに触れ自らも成長

 数年ぶりに韓国を訪れましたが、年月を感じさせない繋がりがあるものとなりました。初めて訪れた2名の若手執行委員が私同様「韓国の人たちも同じ問題を抱え、同じ闘いをしている労働者なのだ」と実感したことをうれしく思います。

 全泰壱記念館では、過酷な労働環境を変えるために闘った青年の姿に感銘。希望連帯労組との交流では、尹政権がいかに労働者に弾圧を加え、組合を叩くことで支持を得ているかを知り、弾圧を受けている関西生コン労組への攻撃に似たものを感じました。メーデー時に自らに火をつけて病院で亡くなった建設労組労働者の事実を聞きショックを受けました。世宗ホテル闘争では、コロナ禍を理由に解雇勧告をされ、ここでも日本の経営者と同じことをしていると実感しました。

 青年ユニオンとの交流で、なかまユニオンと同じ組織拡大の難しさ、「青年ユニオンの加入年齢を過ぎても非正規から正社員になれず闘いを続けている」と歯痒さを語られました。「頻繁な交流をしていきましょう」と持ちかけられたのはうれしく思います。最後に、建設労組の追悼式とデモ集会に参加し、現在の日韓政権に対する悔しさを感じます。

 訪韓は、とても有意義で、若手執行委員にいい刺激となり、自分にとっても成長になったと思います。

(兵庫・佐倉柩)
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