2023年06月02日 1774号

【コロナ在宅勤務不払裁判/教員の松田さんが勝訴/維新市政追従の市教委・校長は誤り】

 5月17日13時15分、判決に先立ち、満席の大阪地裁809号法廷を2分間にわたってテレビカメラが撮影。判決が注目されていることを実感しました。

 裁判長の判決言い渡しは、主文からでなく争点と各争点の判断を説明する形で行われました。結論は「未払い給与、未払い賞与の請求は認めず、初めの3日間分だけ、危険負担の法理によって救済(4万4262円)。校長が本件承認研修を承認しなかったことは、国家賠償法1条1項違反(慰謝料5万円)。出勤命令はパワーハラスメント又は安全配慮義務違反ではない」というもの。

 欠勤扱い8日分の未払い給与11万8034円、欠勤を理由にした人事評価変更による未払い賞与2万9689円、慰謝料100万円、合計114万7723円の請求に対して、認められたのは9万4262円。これをどう評価するか。控訴するかどうか。短時間の間に判決文を読んで、弁護士さんと評価を打ち合わせ、記者会見に間に合わせなくてはなりませんでした。

 実損にも及ばない支払い額には納得しかねる部分はありましたが、「校長が本件承認研修を承認しなかったことは国賠法1条1項違反」とした意義、大阪市教委の判断・指示が間違っているとの認定を含んでいる意義を確認し、「勝訴」「控訴しない」の評価を明確にして会見に臨みました。

 判決文の「新型コロナに関する社会情勢等を考慮せずに従来の承認取扱基準を形式的に適用すべきとした市教委見解は誤り」「校長が専(もっぱ)ら市教委見解に依拠して承認研修申請を承認しなかったことは『職務上の義務違反』で国賠法1条1項違反」とあることを評価してのことです。

 勝訴の情報は、テレビ、新聞等多くのメディアで報じられました。「不条理に黙っていないところが素晴らしい」等、多くのうれしい反響が返ってきています。

 多くの方の支援・協力と藤原航、櫻井聡両弁護士の的確な書面主張によって被告も否定できないまで事実関係を明らかにできたことがこの勝訴の要因だと感じています。維新市政のでたらめな「コロナ対策」、それに追従した市教委・校長の不当な対応への断罪です。

 今後、「控訴するな」「判決を真摯に受け止めよ」「コロナ対策の全面的検証を行え」と維新横山英幸新市長に要求する運動など、この勝訴判決をいかしていきたいと思っています。

(コロナ在宅勤務不払い裁判原告・なかまユニオン組合員 松田幹雄)

コロナ在宅勤務不払い裁判とは

 大阪市教員だった松田さんは2020年3月、ILO・ユネスコ合同専門家委員会に文科省―大阪の教育支配の不当性を訴える要請団で訪欧。帰国後、コロナ感染拡大防止のため当初は認めた在宅勤務を欠勤扱いし賃金カットしたことを不当と提訴したもの。

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