2023年06月09日 1775号

【1775号主張/入管法改悪 軍拡財源法阻止/命を脅かす岸田内閣を倒せ】

間接的な「死刑執行」

 入管法政府改悪案は、全件収容主義を維持し、収容期限の上限や子どもの収容禁止規定がなく、収容を巡る司法審査も欠如しているなど国際人権基準を全く満たしていない。特に、3回以上難民申請した者の強制送還を可能とする規定が問題だ。国連人権理事会特別報告は難民保護の基本原則を損なうとの見解を示している。法案成立は「無辜(むこ)の人に、間接的に死刑執行ボタンを押す」(4/21衆院法務委参考人)ものだ。絶対に阻止しなければならない。

 しかし、廃案を求める声は日増しに拡大している。5月21日の渋谷の集会・デモには7千人が参加した。参院では立憲野党4会派の難民等保護法案と入管法改正案が政府案と並行審議される状況を作り出している。25日法務委では元仮放免者のクルド人ラマザンさんが、両親や日本で生まれた妹に在留特別許可が出ていないことに触れ、「多くのクルド人や他の外国人が送還の恐怖におびえている」と当事者として廃案を訴えた。

元凶は戦推進争路線

 岸田政権が今国会成立をもくろむ数々の悪法の根本には、命と暮らし、人権を壊しグローバル資本の利益を追求する戦争路線がある。

 軍拡推進法案として、医療や年金の積立金などを流用し基金を創設する軍拡財源法案と、国営軍需工場を出現させ武器輸出への資金援助に道を開く軍需産業支援法案の成立をねらう。

 原発推進法案としては、原発回帰と石炭火力延命の政府方針を具体化するGX(グリーントランスフォーメーション)推進法を成立させたのに続き、GX電源法案成立を強行しようとしている。原発の運転期間の上限を撤廃し、規制と推進の分離を崩し、原発復権を国の責務とする法案だ。

 健康保険証の廃止とマイナンバーカード強要を含むマイナンバー関連法案をめぐっては、個人情報漏洩(ろうえい)などトラブルが続発。特に、重大な医療事故にも直結しかねない医療情報誤登録が7千件以上も起きているにもかかわらず、政府は採決を強行しようとしている。

 すべての悪法を阻止し、廃案にしなければならない。

MDS集会で展望を

 岸田政権は広島G7サミット報道などを利用して支持率上昇を誘導するが、政策は市民・労働者の要求と根本的に対立し、運動を強めれば阻止できる。軍拡財源法案も国会内外の闘いで審議日程を予定より10日間遅らせている。総がかり行動実行委員会は、会期末まで毎週火曜日の国会前緊急連続行動を呼びかけている。

 MDS集会(6/10〜6/18)では、終盤国会の情勢を踏まえ岸田政権の大軍拡・改憲・生活破壊と闘う展望を明らかにする。街頭行動や集会など市民の闘いで反対の声を広げ、悪法もろとも岸田政権を打倒しよう。

 (5月28日)
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