2023年06月09日 1775号

【日米韓の平和勢力が国際会議/“互恵・平等”を破壊する“新冷戦秩序”に対抗/国際連帯の相乗効果で平和を/北東アジア平和国際会議のスピーカー、通訳者ら/沖縄、DSA、ZENKOも連帯参加】

 5月16日、「北東アジア平和国際会議〜韓米日軍事同盟が煽る新冷戦に反対しよう〜」が開催された。この国際会議は、韓国正義党の国会議員ぺ・ジンギョ議員とカン・ウンミ議員の共催によるもので、韓国国会議事堂本館を本会場とし、海外からの参加者をオンラインで結んで開かれた。

3国の軍事一体化

 緊急に呼びかけられたこの国際会議の司会は、正義党国際連帯委員長のファン・ジョンウンさんだ。会議開催の意図を「韓米日同盟の強化によって域内の緊張を高める尹錫悦(ユンソンニョル)政権の問題点を訴え、緊張ではなく平和のために、韓米日3か国の進歩政党、市民社会、進歩的知識人・団体との国際会議で解決策を模索したい」と述べる。

 韓国のNGO国際戦略センター事務局長でもあるファンさんと同センターのソン・デハンさんが、海外団体へ会議参加の呼びかけを精力的に行った。ソンさんは、昨年5月、ZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)も参加したDSAIC(アメリカ民主主義的社会主義者国際委員会)主催の「太平洋地域の反基地闘争」をつなぐオンラインパネルに参加し、韓国の反基地運動の歴史について報告した一人だ。二人の熱意で、短期間ながら7団体(別掲)が国際会議準備団体として名を連ねた。

 冒頭、主催者の一人カン・ウンミ議員が「韓米日軍事同盟は、北東アジア諸国の互恵を基盤にした平等な関係でなく、軍事的にも経済的にも一方の側への加担を強いる新冷戦秩序を必然的に生み出す。尹政権が主張する『力による平和』は虚構だ。この会議を通じて、北東アジアの平和に向けたアイデアと政策を見出そう」と開会挨拶を行った。

 基調講演は、延世(ヨンセ)大学統一研究院客員教授で正義党韓半島平和委員会委員長のキム・ジョンデさん。尹政権は4月韓米首脳会談で「ワシントン宣言」を発表し、韓米による核戦力を含めた「防衛」=「拡大抑止」の強化を打ち出したことを批判。「東アジアの勢力均衡に衝撃を与える不安定要因となる」と指摘した。また、軍事三文書を改訂した日本を分析し、「専守防衛が実質的に破棄され、完全に攻撃的概念に転換された。今後、日米韓の軍事一体化がさらに進展し、平和の秩序に敵対する戦争の秩序が東アジアに形成される」と危惧を表明した。

民衆の対話交流

 「新冷戦秩序が各国に及ぼす影響と平和のための解決策」では、韓国、日本、米国から報告者が登場した。

 韓国からは、韓東(ハンドン)大学教授で前韓国国立外交院院長のキム・ジュンヒョンさんが発言した。「韓米日同盟が強化されると日米による『台湾有事』に韓国だけが中立を守ることは困難となる。さらに韓米日安保協力の拡大は、韓日間の重要な歴史問題に対する日本の責任論を薄め、両国の軍事大国化の既成事実化に貢献するだろう」。米国以外の諸国との連携で新冷戦秩序への動きを抑制し、北東アジア非核地帯化の推進、韓米日の良心的平和勢力の連帯努力の強化を訴えた。

 日本からは「ノーモア沖縄戦 命(ぬち)どぅ宝の会」事務局の新垣邦雄さんが「米国が仕掛ける新冷戦の罠」と題して報告した。新垣さんは「沖縄には朝鮮国連軍の3基地(嘉手納・普天間・ホワイトビーチ)が置かれている。ベトナム戦争、イラク戦争等で米軍の出撃拠点となった。今『台湾有事』を想定した日米による沖縄のミサイル要塞化が進み、日米韓の軍備強化は一段と東アジアの軍事緊張を高める」と指摘。「一方、県民は台湾やフィリピンの民衆同士の対話交流で戦争回避の道を模索し始めている。沖縄・台湾・朝鮮半島、アジアの国々が二度と戦場にならないために、戦争の選択肢はない。軍拡ではなく軍縮を、国境を越えた民衆の連帯を」と呼びかけた。

 米国の報告はコリア政策研究所のグレゴリー・エリッチさん。「米国は紛争を作り出そうと努力≠オ、既に中国と戦争≠している。まだ戦闘≠ェ起きていないだけだ。現代の戦争は外交的経済的情報的でサイバー攻撃を含むハイブリッド戦争だ。軍国主義と結んだバイデン、尹、岸田が組んでいるため、平和を実現するには長い闘争になる。私たちは国際連帯という『戦力乗数』(相乗効果で力を倍加するもの)を持ち、国境を越えてつながるほど強くなれる。一時的な挫折に諦めることなく長期的に闘おう」と訴えた。

連帯運動をさらに

 会議はその後、約30分の質疑応答で議論を深めた。

 準備団体として英国から加わったNo Cold Warのフィオナ・エドワーズさんは「欧州の多くの国がロシア・中国に対する米国主導の冷戦政策を支持しているが、教訓がすでにある。ウクライナ戦争という現在進行中の惨劇が示すものだ。対ロ・対中新冷戦が欧州にもたらす利益はない。冷戦構造からの独立、平和維持、経済発展への集中こそが、米国主導の対立、冷戦、戦争への対案だ」と述べた。

 同じく準備団体のDSAICから反戦委員会のジェラルド・ダルボンさんは「第二次世界大戦後も米国はアジア地域で朝鮮戦争、ベトナム戦争を引き起こし800万人の命を奪った。米国が現在も有する800の海外基地のうち200以上が日本と韓国にある。帝国主義者の戦争挑発のレトリックに反対し、労働者階級の利益に基づく平和のための運動を広げよう」。

 ZENKOを代表して私、日南田は「DSAとともにZHAP(ZENKO辺野古反基地プロジェクト)を立ち上げ、国際連帯の力で辺野古新基地、沖縄の島々の軍事要塞化に反対する活動を展開している」と紹介し、連帯を表明した。

 参加者は今後も国際連帯運動を継続強化することを確認し、国際会議を終えた。

 会議の実現に尽力されたすべての関係者に感謝したい。会議後、国際戦略センターのソンさんからは早速次の企画への打診が届いている。今回の国際会議をきっかけに、さらに平和のための国境を越えた連帯活動を広げ、東アジアの平和を切り開く一翼を担いたい。

(ZENKO〈ZHAP事務局〉・日南田成志)

国際会議準備団体

(1)正義党徴兵制政府法・韓米日軍事同盟対策部会(韓国)
(2)正義党国際連帯委員会(韓国)
(3)国際戦略センター(韓国)
(4)NO COLD WAR(英国)
(5)コリア政策研究所(米国)
(6)DSAIC(米国)
(7)ZENKO(日本)



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