2023年06月09日 1775号

【日韓「政治決着」のその先へ―強制動員問題の解決を求めて/討論集会 開く/ノー!ハプサ(合祀)控訴審 不当判決/孫世代へ 新たな訴訟準備】

 日韓両政府により元徴用工問題の「政治決着」が図られる中、真の解決に向けた日韓市民の課題は何か。5月27日、都内で「強制動員問題解決と過去清算のための共同行動」主催の討論集会が開かれ、リモートを含め150人が参加した。

 討論者はジャーナリストの青木理さん、小説家の中沢けいさん、韓国・民族問題研究所の金英丸(キムヨンファン)さん。

 青木さんは、安倍政権10年間に台頭した日本国内の国家主義・排外主義の危険性を指摘。中沢さんは(1)全国の朝鮮人労働者関係の慰霊碑・調査資料を国の責任で収集(2)朝鮮人・中国人の強制労働の事実を認める政府見解の発表(3)産業遺産センターを日本の近代化の光と影を包括的に示す施設へ―の3点を政府に要望する運動を提案した。

 金さんは、「存命原告 支給金受け取りへ」等の報道に関連して、「韓国外交部は、拒否する生存原告に代理人を通じて毎日のように電話し、アポなしで会いに行った。政府がそのように不当な選択を強要することは問題だ。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は『お金が出れば収まる』と言った。カネで“解決”―日本政府がやることを韓国政府がやっている。絶対に許されない」と批判。「今は65年体制をしつこく守ろうとする勢力とわれわれとの闘いだ」と強調した。

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 前日の26日、靖国神社の韓国人無断合祀取り消しを求めたNO!合祀(ハプサ)第2次訴訟控訴審で東京高裁は、遺族の痛みを全く顧みない不当判決を言い渡した。

 第1次訴訟原告の李熙子(イヒジャ)さんは「45秒の判決を出すのに11年かかった。司法は何のために存在するのか。“侵害される権利がない”なら被害者はなぜ裁判を起こしたのか」と怒りをほとばしらせ、「私たちは諦めない。これは未来のため、平和のための闘いだ。孫世代の裁判も準備している」と明らかにした。

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