2023年06月16日 1776号

【争うよりも愛しなさい/世代を超えた沖縄の平和運動へ/リスペクトしつながる/5・21平和集会から】

 2月26日の「島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!緊急集会」から、5月21日の「島々を戦場にしないで!沖縄を平和発信の場にしよう 平和集会」。沖縄の軍事化反対運動は世代をつなぎ大きく発展してきた。その一端が、ZENKOスピーキングツアー東京集会(5/28)でも、山城博治さん(戦争に反対する全県組織立ち上げ準備委員会呼びかけ人)から紹介された。

 集会準備の会議では90代から20代までの幅広い年齢層が参加し、議論を重ねた。

 若い世代が「先輩たちの運動を尊敬している」と前置きしつつ、「怒りや憎しみの言葉が飛び交う場所には行けない」「スローガンやデモの在り方が若い人には入りづらい」「明るい未来が想像できるような希望の持てる表現を模索したい」など意見を表明した。

 シニア世代の「若者が言う優しい言葉では時代を反映できない。それなら若者自身の運動をつくってみたらどうか」との意見に対し、参加していた若者の一人は「それは、そっちで勝手にやればいいと、僕たちを切り捨てるということですか? シニア層と若者を繋いで大きな力にしようと、その方法を考えているのに、あまりにも残念です」と反論した。

 シニア世代も「若者の間で議論を尽くして、見える形で提案してほしいの意だ」と言い直し、さらに会議後も対話を続け、笑顔で話す関係となっていく。

今までにないスローガン

 スローガンを絞る会議で、若い世代が発言した。「一枠だけでいいので、スローガンを若者に決めさせていただけないでしょうか?」。提案したのが「争うよりも愛しなさい」だった。

 シニア世代からの「愛しましょう、ならわかるけど、愛しなさいって上から目線じゃない?」との意見には「この言葉は沖縄出身で全国的に人気のラッパー、Rude-α(ルードアルファ)さんの『うむい』(想い)という曲の歌詞にある、彼の『おばあの言葉』なので、語尾を変えることはできません」と返した。

 シニア世代の理解をはるかに超える提案に運営委員の大半が驚愕(きょうがく)した。いろいろ議論が交わされたのち山城さんが「私たちの運動の哲学のようなものとして受け入れようではないか」と提案して、「争うよりも愛しなさい」のスローガンが了解された。

新しい風を吹かせたい

 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」メーリングリストでも若者が呼びかけている。「SNSでは辺野古前で大声を上げて反対して争う姿だけがピックアップされ、画像や動画が沖縄の子どもたちに拡散されている。真意が伝わらず怖い姿だけを見た子どもたちは“怖い”“近づきたくない”と思う。これが事実なのだ。本当の想いは、子や孫に平和な沖縄を残したいと真剣に考えて行動しているのに。どんなに正しいことも次の世代に伝わらなければ、そこで終わってしまう。世代によって発信の仕方や心に響く言葉も違う。どうか信じてほしい。若者の力を!若者の心に届けばどれだけ大きな力になるか。時代が大きく変わり新しい風を吹かせるには、若者のエネルギーがどうしても必要。シニア世代のパワーも若者のエネルギーも一つにしたい」

 両集会実行委員会の運営委員長も担った山城さんは「これからも、世代を超えて大胆に議論して大きな大衆運動をつくっていきたい。秋ごろに那覇市で1〜2万人の県民大会を行い、国内外に大きく発信する」と希望を胸に抱負を語る。

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