2023年06月16日 1776号

【入管法改悪 強行採決ありえない/声上げる若い世代 反レイシズムのうねり/国会正門前に5500人】

 移民・難民の命を危うくする入管法改悪案。広がる反対運動は立憲民主党を法務大臣問責決議案の提出に踏み切らせ、6月6日に予定されていた参院法務委員会採決を阻んだ。

 国会前で、各地で、抗議アクションが繰り広げられている。児玉晃一弁護士によると、今年に入ってからのスタンディングは全国78か所を数える。その先頭に立つのは若者たちだ。

 「大学の授業をさぼって来た。国籍や肌の色が違うというだけで難民をいじめるのか。国会で平気な顔してヘイト発言する人権意識の低い政治家はいらない」(学生・6/1参院議員会館前)「当事者の声を聞いて学生が動かなきゃいけないと感じ、キャンパスに立て看を立てた。『ルポ入管』の読書会を計画し、20人の学生が集まった」(同)

 当事者が叫ぶ。ミャンマーの少数民族ロヒンギャのミョーチョーチョーさんは涙声で「去年2月、ミャンマーの父が亡くなった。軍のテロリストたちは市民を殺す、若者の身は危ない、とブローカーを使い、借金して私をこの国に送ってくれた父だ。私はこの国が大好き。でも政府のやってることはありえない。私たちの人生を何と思ってるの。難民保護というが、どこが保護してるの。あなたたちに心はないの。この社会で生きられるようにビザを出してください」。

 4日、クルド人が多く住む埼玉県川口市のJR川口駅前スタンディング。80人の参加者が次々マイクをとる。「法案が通ったら私たちの同級生や職場の同僚が強制送還の対象になる。仲間を殺させない」「私は普通の勤め人。普通の人間だから、入管で行われているものすごく異常な行為を許さない」「初めて参加した。報道されていることから目を背けてはいけない」「WBCもラグビー、サッカーもかじりついて日本を応援した。ただ、この入管制度はひどい制度。さらに悪くする法案に行動しなければ加担することになる」

 5日夜、国会正門前に5500人が結集した。動員ではなく一人ひとりのやむにやまれぬ思いから駆けつけた人びとだ。

 「立法事実は完全に崩壊した。『日本に難民はほとんどいない』との認識が崩れた以上、法案を採決することは許されない。大阪入管の酔っ払い医師のことを隠していた法務大臣、辞めなさい」。指宿昭一弁護士の火を噴く言葉が参加者一人ひとりの怒りを代弁した。

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