2023年06月23日 1777号

【北海道で核のごみ問題考える全国集会/応募やめさせ政策転換求める 廃棄物処分できぬ原発に未来なし】

 5月27〜28日、札幌市で「どうする原発のごみ?全国交流集会」(原水爆禁止国民会議、原子力資料情報室、北海道平和運動フォーラム主催)が開催。全国から集まった市民が討議した。

 町長が核ごみ処分場調査に手を上げた北海道寿都(すっつ)町から、「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」の大串伸吾さんが「町内では賛成派、反対派が分断され、考えが違うと町民が互いの家を訪問もできない」と現状を報告した。

 2022年8月、「ハッピーロードネット」(福島県広野町)の高校生ツアーが町を訪れた。「町長の町を思う気持ちが伝わってきた」(ツアー報告)と核ごみ推進派に都合よくまとめられた高校生の声が推進の雰囲気作りに利用されていると大串さんは危惧する。

 ハッピーロードネットは、帰還困難区域を走る高汚染地域の国道除染作業に福島県内の子どもを動員するトンデモ団体だ。理事長・西本由美子は改憲団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の発起人も務める。

 寿都に隣接する神恵内(かもえない)村では、反対派を交えず国とNUMO(原子力発電環境整備機構)だけで「説明会」開催。動きを批判する土門昌幸・神恵内村議は「(泊原発関係4町村に含まれ、立地地域交付金を受けている神恵内村は)原発の恩恵を受けているのだから受け入れなくては」という意見だけが次々に上がる「説明会」の様子を「賛成意見表明会」だと指摘した。反対派は傍聴だけで意見表明の場もない。

 核ごみ誘致の動きは各地で表面化しつつあるが、NUMOはほとんどに関わっている。長崎県対馬市では地元商工会が誘致を決議し市長に申し入れた。九州最南端にある鹿児島県南大隅町でも一時、処分場誘致が町を揺るがした。

 28日の全体集会では、原発復活へ暴走する岸田政権を批判。(1)全国全市町村は核のごみ最終処分候補地への応募を行わないこと(2)全国の住民は自治体や「受け入れ請願」などを通じて推進派の手足となっている地元商工会を監視すること(3)国は原発政策の根本的転換をすること―を求める集会アピールを採択した。

 岸田政権は全国の原発再稼働・新増設を狙う。だが青森県六ヶ所村の再処理工場は当初計画から四半世紀経た今も稼働しない。各原発では使用済み核燃料の保管場所がなくなりつつある。再処理できなければ高レベル放射性廃棄物となる。

 現在の「トイレのないマンション」状態が続けば原発回帰政策は破綻する。集会アピールを受け、核のごみ処分場への応募を許さない闘いを全国に広げよう。

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