2023年06月23日 1777号

【原発賠償京都訴訟控訴審/高裁包囲した「事故は国の責任」/原告・支援者が元気にコール】

 京都訴訟第18回控訴審期日の6月6日、原告と支援者らが大阪高裁前の公園に結集した。公正判決を求める「原発事故は国の責任です 裁判官に届けよう 私たちの声を 集まれ大阪高裁 100人アピール行動・裁判所一周パレード」に取り組むためだ。

 公園にはテントが張られ、一人ひとりの手書きメッセージが添えられた「原発事故は国の責任です」のボードが並ぶ。支援者は「裁判所はこの声を聞け」とボードを掲げ、連帯を表した。

 京都訴訟原告を先頭に関西訴訟団や支援者も3分アピール。「福島に帰省してきた。川俣町の山の中で採れた山菜を兄が持って来て、天ぷらにしてみんなで食べた。こちらに戻ってそれを放射能測定所で測ったら、かなり高い数値。向こうの家族はそういう風に暮らしている」「最高裁判決は“何をしても事故は起きる。だから国に責任はない”というふざけた判決だった。高裁の裁判官は、自分の頭で考え良心に従って判決を書いてください。三権分立が機能していることを示してほしい」と、国の責任をただす判決を求める。

 福島敦子原告団共同代表は、小林旭の「自動車ショー歌」の替え歌を歌い、集会全体を盛り上げた。

声届き 弁護団にも勇気

 100人パレードで原告らのコールが裁判所一帯に轟く。「原発事故は国の責任/被害事実と向き合った公正判決求めます/原発問題 人権問題/私の人権守るのは あなたの人権守ること/被ばくの強要お断り/被ばくから逃れる権利認めてよ/放射能をばらまいた責任取って原発やめよう」

 原告・支援者は「国の責任! 何度も叫べてすっきりした」「アピールデモは、応援者としても原告と一体感を高めるよい企画」「みんなの声がビルに反響して迫力あり、元気が出ました」とみな意気盛んだ。

 報告集会で、川中宏弁護団長は「裁判所内で進行協議の時に、外からみんなのコールが聞こえて、心の底から勇気が湧いて来る一幕だった」とうれしい報告。

 次回期日は9月26日。アピール行動もさらに広げる。


行動ステップアップし 勝利判決つかむ

 「原発事故は国の責任」のコールが大阪高裁周辺に響き渡った。「100人アピール行動・裁判所一周パレード」に集った原告・支援者が声を上げたのだ。

 最高裁は昨年6月17日、先行する4訴訟(群馬・千葉・生業・愛媛)に対して「国に賠償責任なし」との不当判決を下した。この判決は、「想定外の津波であり、たとえ国が規制権限を行使しても事故を防げたとは言えないから、国に賠償責任はない」とする極めて不当なものであった。最高裁判決後、後続訴訟の地裁・高裁では「国に責任なし」の判決が続いている。

 原告・支援者にも、最高裁不当判決に対する怒りはあるものの、どうすれば覆せるのかと不安な気持ちもあった。そこで4月から月2回、大阪高裁前署名宣伝行動を始め、最高裁判決のおかしさを声に出す中で運動方向が明確になってきた。

 こうした中で行われた今回の行動は、控訴審の年内結審も想定される中で、大阪高裁で最高裁不当判決を覆し「国に原発事故の責任あり」との公正な判決をかちとるために行われた。

 何度も会議を重ねて準備した100人アピール行動・裁判所一周パレードは、原告・支援者が「原発事故は国の責任」と一緒に声をあげ、元気になる行動として大成功した。

 今後の方針は、(1)最高裁判決を批判し、国内避難民の権利を明記した公正判決を求める第2次署名を全国に広げ裁判所に積み上げること、(2)法廷にあふれる傍聴支援を作り上げることだ。勢いのある運動を作り出す中で結審を迎え、勝利判決をつかみとることだ。

 そのために、次回9月26日第19回期日には200人アピール行動、12月12日第20回期日には300人アピール行動とステップアップさせ、「原発事故は国の責任」の声を大きく響かせ勝利判決をつかんでいく。

(原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会 奥森祥陽)

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