2023年06月30日 1778号

【ウクライナに平和を 国際サミット宣言/今こそ停戦と交渉を/9/30〜10/8グローバル行動週間へ】

 「平和は平和的手段で ウクライナに平和を国際サミット」が6月10〜11日、オーストリアのウィーンで開催された。ロシアのウクライナ侵攻以来初めて、数々の妨害にあいながらも32か国から300人以上が集まり、戦闘終結を求める宣言を発した。

宣言

 ウクライナに平和を国際サミットを主催した私たちは、ウクライナ戦争を終わらせるための即時停戦と交渉を支持する行動をとるよう、すべての国の指導者に呼びかける。

 私たちは、多くの国の平和運動団体や宗教者を含む市民社会を代表する広範で政治的に多様な連合体である。戦争は人道に対する罪であり、現在の危機に軍事的解決はないという信念で固く結ばれている。

 私たちはこの戦争に深い憂慮と悲しみを募らせている。数十万人が殺傷され、数百万人が避難を余儀なくされ、心に傷を負った。ウクライナ全土の都市や村、そして自然環境が粉々に破壊された。

 紛争が核兵器の使用にエスカレートすれば、さらに多くの死と苦しみがもたらされるだろう。その危険はキューバ・ミサイル危機以来、最も高まっている。

 私たちは、ロシアによるウクライナへの違法な侵攻を非難する。ヨーロッパの平和と安全を確保するために設立された諸機関は機能せず、外交の失敗が戦争につながった。ウクライナを破壊し人類を危険にさらす前にこの戦争を終わらせるため、いま外交こそが緊急に求められている。

 平和への道は、共通の安全保障、国際人権の尊重、すべてのコミュニティの自己決定の原則に基づくものでなければならない。

 私たちは、戦争という非論理ではなく平和の論理に立つすべての交渉を支持する。

 私たちは、自らの権利を守るウクライナ市民社会への支持を確認する。命を危険にさらして戦争に反対し、民主主義を守っているロシアやベラルーシの人びととの対話を強化することに全力を尽くす。

 すべての国の市民社会に対し、この戦争を終わらせるための即時停戦と和平交渉を求めるグローバル行動週間(9月30日〈土〉〜10月8日〈日〉)に参加するよう呼びかける。

解説

 サミットにはウクライナやロシア、ベラルーシから命がけで参加した人びとがいる。ウクライナ平和主義者運動のユリー・シェリアジェンコさんは出国できず、キーウからリモートで「私は多くのウクライナ人と同様、私の街を爆撃するロシア軍の侵略の犠牲者であり、人殺しを拒否する権利を与えないウクライナ軍による人権侵害の犠牲者だ。18歳から60歳の男性は全員出国を禁止され、路上で拉致されて軍の奴隷制の下に置かれる」と訴えた。

 和平交渉を呼びかけるという結論で参加者は一致していたものの、とくにワークショップでは意見の相違が多々見られた。

 交渉を要求しつつも武器は送り続けるべきだとの主張もあれば、武器供与の即時停止を求める主張もあった。ロシア軍の撤退は交渉の前提条件か交渉の結果か、でも意見は分かれた。NATO(北大西洋条約機構)の挑発と、初期の調停の試みを妨害した米英の役割を非難する声は強かったが、最終文案からは外された。

 だが、宣言と会合そのものの最も重要な部分は、さらなる行動の呼びかけだ。

 主催者の一人、国際平和ビューローのライナー・ブラウンさんは「サミットは出発点にすぎない」と語った。「より多くの行動、より多くの集会、学生や環境保護活動家にもっと手を差し伸べること、より多くの教育イベントが必要だ。今回はグローバルな協調のすばらしい始まりになった」

(米国平和団体CODEPINK共同設立者メディア・ベンジャミンさんの報告から)

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