2023年06月30日 1778号

【8年ぶりのアフガニスタン訪問 ターリバーン再支配下の女性たちの闘い】

 イスラム主義勢力タリバン(現地語でターリバーン)支配下のアフガニスタンで、自由と女性の権利のために闘い続けるRAWA(アフガニスタン女性革命協会)。「RAWAと連帯する会」は3月、現地を訪れた。会事務局長の桐生佳子さんに報告を寄せてもらった。

 8年ぶりのアフガニスタン。ずっとビザが取れなかったが、突然、申請が認められた。理由はわからない。

 今回、▽連帯する会が建設・運営をサポートする東部の学校の訪問▽RAWAが運営する「秘密の学校」の見学―を大きな目的に上げていた。どちらも首都カーブルから外の地域にある。

 私たち外国人ツーリストは、カーブル市外に出るときは許可証が必要となる。ツーリストオフィスで申請し、オフィスに登録されたガイドを雇わなければならない。現在のアフガニスタンでは、はっきりとターリバーンとわかる人たち以外にも、ターリバーンと通じている人がとても多く存在し、警戒が必要だ。個人的には優しい人だったこのガイドさんにも気をつけて対応せざるを得なかった。

RAWAに若い女性も

 RAWAとの話し合いを、郊外のとあるところで持った。この日は車もドライバーも変え、ホテルから車に乗るのではなくあえて道端で車に乗り込むというほど警戒をしていた。道中もバックミラーで他の車が追ってこないか注意をしながらスピードを上げて走った。

 その家では、数人の女性たちが出迎えてくれ、一人、また一人と人数が増えてくる。一度に来ると近所で目立つからである。懐かしい人もいるがほとんどは全く初対面の人たちだ。

 中には大変若い女性たちもいて驚かされる。この過酷な時期にRAWAに結集して活動をしようという人たち。少しはにかんではいるが大変明るい表情である。悲壮感などは見られない。 RAWAはこの時期であっても街頭に出て、デモもしている。拘束された人の経験も聞いた。デモに出るときはスマホの履歴を全部消して参加する。または、通話しかできない昔の携帯電話しか持たない。拘束されたときは銃で殴られ、けがもした。女性のターリバーンもいるので細かく調べられる。何とか釈放されても、尾行されているかもしれずまっすぐには帰宅できない。突然の家宅捜索が行われている。いつやってくるかわからない。不審なものがないか徹底的に調べ、拘束されることもある。

「ここで闘い続ける」

 メンバーらは「これまでの闘いの中で今が一番苦しい時」だが、「RAWAは外国に出るのではなく、アフガニスタンで闘い続ける」「多くの知識人は去っていった。これからのアフガニスタンがどうなっていくのか心配だ」と話す。

 具体的な活動として、「秘密の学校」をするときなど徹底的な草の根で、一軒一軒、一人ひとりと話をし、理解をしてもらい支援者を増やしている。「秘密の学校」でも、ダリー語や算数などの授業の後に人権や宗教の話もしている。特に貧しい人たち、寡婦(かふ)や子どもが道で物乞いをしているような場合は食糧支援をしている。医療支援や人道支援が今最も重要な課題である。

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 私たちRAWAと連帯する会は、教育支援を中心に、緊急支援も多く行ってきた。この手を緩めることはできないことがよく分かった。今のところ自由に動ける私たちは、アフガニスタンの女性や子どもたちの現状を伝え、アフガニスタンの問題、また日本の問題をも考えていく運動をしていかねば、と思った訪問だった。
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