2023年06月30日 1778号

【みるよむ(660)2023年6月3日配信 イラクの女性は家事労働への賃金を要求する】

 イラクでは家事労働のほとんどを女性が担っているが、社会的価値が認められている状況ではない。これに対し、女性たちが家事労働に対する賃金を要求して運動を展開している。2023年4月、サナテレビはこの取り組みを取材した。

 サナテレビは、家事労働の社会的な意味を示し、家事労働に対する賃金を求めることは歴史的にも世界の民衆の要求となっていることを説明する。

 イスラム主義勢力による支配が強まっている現在のイラクでは、女性の家事労働負担が軽減されることはなく、正当な賃金が保証されることもない。

 イラクで、世界中で、家父長制の考え方がまだまだ強い中、「私たちは自らの権利を求める」「家事労働に対する賃金を求める」「家事労働とは有給労働のことだ」という要求と闘いが組織されてきた。

 ナディア・マフムードさん(アマーン女性連合)は、ベイルートの会議で「イラクの女性は1日に300分を家事労働に、45分を介護労働に費やしているが、男性は家事労働に45分、介護労働に4分しか費やしていない」と現実を指摘した。アマーン女性連合は家事労働に関するアンケートなど、女性の権利意識を高め、働きかける活動を続けてきた。

これは搾取との闘いだ

 サナテレビは、この闘いについて「女性や少女が家庭で受けている経済的、身体的、心理的搾取に注目を集め、その労働が生活の継続を保証するもの」「資本主義的不正の中にある搾取との闘い」と述べる。

 家事労働への賃金の要求は、膨大な石油生産の収入があるにもかかわらず大量失業と低賃金を強いているイラク政府とグローバル資本に対する闘いである。

 それはイラクだけの問題ではない。世界の女性、労働者の共通の要求だ。この闘いに連帯していきたい。

(イラク平和テレビ局in Japan代表・森文洋)

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