2023年07月07日 1779号

【福島原発千葉訴訟第2陣控訴審 結審 「最高裁判決に忖度するな」】

 「お金をいくらもらっても命には替えられない」。6月21日、東京高裁で開かれた福島原発千葉訴訟第2陣控訴審の口頭弁論で、原告の菅野貴浩さんが最後の陳述に立った。「津波が予見されていたのに国は東電に対策を指示しなかった。その国に責任がないという(昨年6月17日の)最高裁判決はおかしい。小児甲状腺がんの提訴もあり、今は避難を決断してよかったと思う。裁判官のみなさんもそのような場所に子どもと住むことができるか、考えてほしい」。大きな拍手が法廷に響いた。

 5人の弁護士が「水密化工事は1基あたり1億円、1年以内でできた。東海第2、浜岡でも実施済み。事故は十分に防げた」(内藤潤副弁護団長)など次々に最高裁判決を批判した。

 まとめは、滝沢信弁護団事務局長。4月に急逝した福武公子弁護団長の無念の思いを込めて「最高裁判決に忖度することがないように。判決と三浦守裁判官の反対意見を冷静に比較して判断してほしい」と訴え、三浦意見を引用して「人格権は憲法が保障する最も重要な価値。事業者が極めて高度の安全性確保の義務を負い、国がその義務を適切に履行させるため必要な規制を行うことは当然だ。事業の経済的利益等を理由として、必要な措置を講じないことは正当化されない」と締めくくった。

 判決は12月22日午後3時と指定された。

 議員会館の報告集会には100人を超す支援者が結集。かながわ、東京、埼玉、群馬、愛知岐阜、京都、関西各訴訟の原告らが連帯あいさつし、最高裁判決を覆す共同の闘いを誓った。
MDSホームページに戻る   週刊MDSトップに戻る
Copyright Weekly MDS